デジタル岡山大百科 | 岡山県立図書館

ひとしお

質問内容

「お慶びもひとしおのことと拝察申し上げます」という場合の「ひとしお」はどういう意味か、どういう漢字を書くのか。また、明治以前の古い用例が存在するかも知りたい。

回答内容

まず、館内の辞書・事典類を確認したところ、以下の記載があった。
①に
ひとしお[・・しほ]【一入】名▼「しお」は接尾語。染物を染汁に一回入れて浸すこと。転じて、副詞的にも用いて、ひときわ。いっそう。
[語源説]ヒトシム(一染)の義〈言元梯〉。
[参考]①「しお」は染色などの時に液にひたす回数を表す接尾語。現代ではもっぱら副詞として用いられるが、古くは、「一入」「再入」などといい、何回も色濃く染め上げたことを「八入」「百入」「千入」「八千入」などと用いた。②「しお」の語源については、「汐合の意〈略〉或は、醞る意にて、酒を造り、色を染むる汁の義かといふ」(「大言海」)とする説がある。 との記載があり、用例として古今集が挙げられている。

②に
ヒトシオ〖一入〗ひときわ。いっそう。もとは、染物を染汁に一回入れて浸すこと。シオは接尾語か。 との記載がある。

③に
ひとしお【一塩】魚・野菜などに、さっと薄く塩をふりかけること。そうしてあること。「―の鮭(さけ)」
ひとしお【一入】〘副[に]・ノダ〙ひときわ。一層。「寂しさ―(に)身にしみる」「喜びも―だ」 という記載がある。
また、しお【入】染物で、布を染め汁にひたす度数を表す語。「ふた―」 という記載がある。

④に
ひとしお【一入】〘名〙(『しお』は接尾語)
①染物を染汁に一回入れて浸すこと。 との記載があり、用例として『宇津保物語』『太平記』が挙げられている。
②(副詞的にも用いる)ひときわ。いっそう。 との記載があり、用例として『古今集』、虎明本狂言・財宝などが挙げられている。
ひとしお【一汐】〘名〙網を一回水中に入れてひたすこと。 との記載があり、用例として歌舞伎・鏡山錦栬葉(加賀騒動)が挙げられている。
ひとしお【一塩】〘名〙魚、野菜などに軽く塩をふること。また、そのもの。 との記載があり、用例として狂歌・卜養狂歌集、俳諧・続猿蓑が挙げられている。

次に、館内検索システムの「全項目」で「ひとしお」を検索すると、⑤がヒットした。
⑤に
「ひとしお」は「一」と「しお」から成る数え方。調べてみると、これは飛鳥時代から日本に伝わる、布を藍で染める工程に由来しているのだそうです。「しお(しほ)」は漢字で「入」と書き、染料に木綿布や麻布を浸し入れる回数を表します。つまり、愛の染料に布を一回くぐらせることを「一入」と言ったのです。染料に入れられた布を空気に触れさせると、色がだんだん緑色から青色になっていきます。この作業を「二入」「三入」と何度も繰り返していくうちに、やがて布は深く美しい藍色へと染め上げられていきます。昔の人は、人が喜びや感慨に浸ることを、藍色の美しさがより深くなっていく様子になぞらえたのでしょう。 との記載がある。

回答館・回答団体

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ひとしお

(ヒトシオ)

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(オカヤマケンリツトショカン)

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①前田富祺/監修 『日本語源大辞典』 小学館 2005.4 1273p  p.参照はp.952
②堀井令以知/編 『語源大辞典』 東京堂出版 1988.9 277p  p.参照はp.212
③西尾実/編  岩淵悦太郎/編 『岩波国語辞典』 岩波書店 2009.11 1654p  p.参照はp.1256,596
④小学館国語辞典編集部/編集 『日本国語大辞典 第11巻』 小学館 2001.11 1470p  p.参照はp.380
⑤飯田朝子/著 『数え方もひとしお』 小学館 2005.11 158p p.参照はp.4

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813.6

812.033

813.1

815.2

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