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株主総会で選任された取締役がその職務を忠実に遂行せず、会社に損害を与えた場合、取締役は会社に対して損害賠償責任を負います。この責任は当然会社が追及することになり、取締役が賠償金の支払いに素直に応じないときは裁判に訴えることになり、その場合は原則として監査役が会社を代表して訴えを提起します。ところが監査役も取締役もともに役員仲間であり、同僚を訴えるのには躊躇を覚える可能性があります。もし取締役に賠償責任があるのに会社側がそれを追及しないとすると、事実上取締役の責任は不問に付されたことになり、会社の損害も賠償されないままとなります。そこで、商法は、会社が取締役の責任追及を行わないときに、株主が会社のために訴訟を提起することを認めています。これが、株主代表訴訟です。 株主代表訴訟を提起できるのは、6ヶ月前から引き続きその会社の株式を有している 株主に限られます。株主代表訴訟は、本来会社が追及すべき取締役の責任を株主が代わって追及するものなので、株主は、まず会社に対して取締役の責任を追及する訴訟を提起するよう請求します。このとき、会社を代表して提訴請求を受け、提訴するかどうかを判断するのは監査役です。提訴請求を受けた会社が30日以内に取締役の責任を追及する訴えを提起しないときは、株主は会社のために取締役の責任を追及する訴訟を提起できます。株主代表訴訟は、株主が原告となり、取締役が被告となる訴訟形態をとります。ただ、原告株主が勝訴すると、判決主文は「被告は○○株式会社に対して金××万円 を支払え」という形になります。株主代表訴訟は、取締役の会社に対する責任を追及する訴訟なので、賠償金等は会社に支払われ、株主へは支払われません。株主は、せいぜい訴訟のために支出した費用と弁護士報酬のうち相当額を会社から支払ってもらえるにすぎません。以上が株主代表訴訟についてのポイントです。
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岡山県産業振興財団