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株式会社と取締役との関係は委任関係であり、その一般的な義務として会社に対して善良なる管理者の注意をもってその職務を行う義務(善管注意義務)を負っています。善良なる管理者の注意義務とは、会社の取締役としてその職務を行うに必要な程度の注意とされています。その他に取締役は会社に対して商法の定める忠実義務(商法254条の3)も負っています。 忠実義務とは、法令および定款の規定ならびに株主総会の決議を遵守し、会社のため、忠実にその職務を遂行する義務であると規定されています。具体的には、①会社の営業の部類に属する取引を取締役が自己のためになす場合に取締役会の承認を要する競業阻止義務、②取締役が商法で定める配当可能利益を超える違法な配当または取締役会により違法な中間配当がなされたときに取締役は連帯して違法配当額を弁済しなければならない違法配当等に関する責任、③取締役が会社から金員を借り入れる行為、取締役と会社が商品や不動産を売買するとき、取締役が会社から手形の振り出しを受けたり裏書を受ける行為や取締役が第三者から融資を受ける際に、会社に保証をしてもらう行為などの会社を相手として取締役が取引を行う場合は、取締役会の承認を要するという取締役と会社間取引に関する制限、④取締役が過失により法令または定款に違反する行為をして、会社に損害を与えた場合は、会社に対して賠償しなければならない法令・定款違反行為に関する責任。 以上の法的義務が取締役には課せられています。なお、取締役がこの義務を怠ったにも関わらず、会社が責任を追及しない場合は、株主が直接取締役に対して責任を追及することができます(商法267条)。
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