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ジャスト・イン・タイム生産方式導入に関して、関係業界になされてきた公正取引委員会による指導の考え方などから、次のような点に注意が求められます。 (ア)内示より、具体的に発注した時点が下請法上の発注時点と見られる(3条の書面交付義務との関係)、 (イ)カンバンによる納入数量が内示による発注数量を大幅に下回る場合、受領拒否(4条1項1号)に当たるおそれがある。 (ウ)当生産方式導入により、下請事業者に運送コスト等のコストアップ要因が生じる場合、発注単価の抑制が、買いたたき(4条1項5号)と判断されるおそれがある。 (エ)当生産方式導入により、下請事業者にコストアップ、在庫の増加、設備の取り替え等の不利益が生じる場合、優越的地位の乱用(独禁法19乗)に当たるおそれがある。これらのことから、次ぎのような留意事項が考えられます。 (1)ジャスト・イン・タイム生産方式が、継続的な量産品で生産量が平準化されている場合に有効な手法であることを踏まえた上で、親事業者と下請事業者双方の検討、合意の上で導入すること。 (2)発注時点、発注数量を明確化するために、下請法で義務付けられている発注書面の交付において、納入月日と各期日毎の発注数量を明確に記載すること。 (3)カンバンによる納入指示は、各期日毎の発注数量を微調整するに過ぎないものとの理解の下で実施すること。 (4)カンバンによる納入数量の合計が、発注書面による発注数量を大幅に下回らないようにすると共に、大幅に下回る場合にも下請事業者に不利益が生じない方法を採用または対策を講じること。 (5)1回当たりの納入数量を適正にし、過度の多頻度小口納入とならないようにすること。 (6)当方式導入により、下請事業者に運送コスト等のコストアップ要因が生じる場合に、下請代金について、事前に十分な協議を行い、双方の十分な合意形成を行うこと。
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岡山県産業振興財団