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ジャパニーズボブテイルの尻尾

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猫の尻尾は通常長いものが多いが、ジャパニーズボブテイルの尻尾はなぜ短いのか。

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①『ときめく猫図鑑』のp.72にジャパニーズボブテイルは「昔から日本にいた猫をアメリカにもち込み、繁殖を繰り返して猫種として完成させたもの」で、「浮世絵などに登場する「日本の短尾の猫」のイメージを強調し、アメリカナイズされた猫種です」とある。
 またp.104-105に猫の尻尾について、「しっぽの基本は長尾。短尾や無尾は突然変異で生まれたものです」、「日本で短尾の猫が浮世絵などに描かれるようになったのは江戸時代。江戸で短尾の猫がもてはやされたおかげで、今でも関東では、関西にくらべて短尾の猫の確率が高いそうです」とある。

②『世界で一番美しい猫の図鑑』のp.51にジャパニーズボブテイルの説明がある。古代から続く種だが、その起源についてはさまざま伝説が残っているとし、昔の日本で、尾に火が燃え移った猫によって火事が起こり、怒った帝がすべての猫の尾を切り落とさせた、という伝説が紹介されている。
 また、日本にいた尾が短い猫が1968年にアメリカに輸入され、交配を繰り返して血統が築かれたと書かれている。しっぽについては「ジャパニーズボブテイルのポンポンのような尾は劣性遺伝によるもので、1匹1匹、特徴的な形をしている。ジャパニーズボブテイル同士で交配しなければ、かわいらしい尾の子猫は生まれない」とある。
 
③『猫づくし日本史』のp.80-81と85に日本の絵画に描かれた猫の尾の長さの変化について書かれている。p.85には「日本に古くからいる純粋の日本猫は、前にあげた「鳥獣人物戯画」に描かれたような短頭で丸顔で長尾の猫になる」とある。P.80には「室町時代まで、絵の中で描かれた猫は、すべて長い尻尾を持つ長尾の猫であった」、「短尾の猫が最初に登場するのは、喜多川歌麿(1753-1806)の作品である。このあと短尾の猫の絵が目立ってくる」とある。
 この尾の変化について、p.81に「生物学者は日本で独自に起こった突然変異ではないかと推測している。短尾は優性遺伝なので、純粋な短尾の猫と純粋な長尾の猫を交配させると、子猫はすべて短尾になるという」と書かれている。
 また同頁に「江戸時代後半の猫好きの人びとが短尾の猫を長尾の猫より好んだことが、短尾の猫の数を増加させることになったと考えられる」、「猫の長い尾は蛇のように見えるし、長い尾をもつ猫は年をとると尾が2つに割れて猫又(猫胯)に変わるかもしれない。こういった考えから短尾の猫を好んで飼った人びとが、短尾を保護してふやしていったのであろう」とある。

④『猫の教科書』「ジャパニーズ・ボブテイル」の項に、発祥年代は1700年代、祖先は江戸時代中期に自然発生した短尾の猫とある。歴史と特徴では、「1963年、来日した米国の猫の審査員が、日本猫の短く愛らしいシッポに興味を持ちました。それを伝え聞いた米国のブリーダーたちは、この短尾の猫から新しい猫種を作出しようと考えます。(略)100匹以上の短尾の日本猫が海を渡り、米国で繁殖が進められました。(略)最大の特徴は、劣勢遺伝による短くてかわいいポンポンシッポと、二毛や三毛に見られる大胆なパッチ模様の毛色です。」とある。
 また、p.87の「日本猫の歴史」では、鎌倉時代には短尾の猫が輸入されたこと、猫又伝説が江戸時代の庶民に浸透して、長い尾の猫が嫌われたこと、江戸や浪花では短尾の猫が多かったことが記述されている。P.93「体の構造と機能」では、尾曲がり、無尾について、「猫の尾が曲がる原因の1つは、仙椎の数だと考えられます。仙椎は脊椎と尾椎をつなぐ椎骨で通常は3つの骨が連なっていますが、(略)日本猫では約半数が仙椎が2個しかなかったようです。」とある。

⑤『ネコがこんなにかわいくなった理由』にも、日本の猫の尾が短いのは江戸時代に短尾が好まれたこと、ジャパニーズ・ボブテイルは日本猫がアメリカに送られ作出されたこと、短く曲がった尾は劣性遺伝によることが記述されている。

⑥『猫はふしぎ』では、「そもそも短尾ネコがどうやってうまれたかというと、はるか昔の突然変異」であり、⑤同様の日本のネコの歴史と猫股伝説についても触れている。

⑦『ネコと遺伝学』では「しっぽの曲がったネコ、しっぽのないネコ」の項でジャパニーズ・ボブテイルについて「この曲がったしっぽは、しっぽの骨の奇形で、一つの遺伝子の変異によるものです」と記述し、江戸時代に生まれ、人々が大変好んだため増えたとしている。

なお、⑧「Whole Genome Sequencing Identifies a Missense Mutation in HES7 Associated with Short Tails in Asian Domestic Cats」によると、ジャパニーズ・ボブテイルと中国南部の短尾の猫の遺伝的基盤が同定され、短曲尾はHES7の遺伝子の変異であること、短曲尾が常染色体優性遺伝であることが確認された。

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ジャパニーズボブテイルの尻尾

(ジャパニーズボブテイルノシッポ)

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(オカヤマケンリツトショカン)

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①今泉 忠明『ときめく猫図鑑』 山と溪谷社,2016,127p. 参照はp.72,104-105.
②タムシン・ピッケラル『世界で一番美しい猫の図鑑』 エクスナレッジ,2014,287p. 参照はp.18,51.
③武光 誠『猫づくし日本史』 河出書房新社,2017,111p. 参照はp.80-81,85.
④高野 八重子『猫の教科書』緑書房,2016,168p.参照はp.35-36,87,93.
⑤黒瀬 奈緒子『ネコがこんなにかわいくなった理由』PHP研究所,2016,225p.参照はp.43-49,136-137,153-154.
⑥今泉 忠明『猫はふしぎ』イースト・プレス,2015,189p.参照はp.170-175.
⑦仁川 純一『ネコと遺伝学』コロナ社,2003,126p.参照はp.19-22
⑧Xiao Xu, Whole Genome Sequencing Identifies a Missense Mutation in HES7 Associated with Short Tails in Asian Domestic Cats」Scientific Reports volume 6, Article number: 31583 (2016) https://www.nature.com/articles/srep31583.pdf(2022.1.25確認)

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645:家畜・畜産動物各論、ペット

489:哺乳類

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