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ドイツの総合制学校について知りたい
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総合制学校(総合学校、共同学校とも)はドイツ語で「Gesamtschule」(ゲザムトシューレ)と呼ばれ、「早期選抜の弊害を克服するという観点」(『世界の学校 新版』p.20)から設置された学校種である。
その歴史は『ドイツの教育のすべて』、特に「第12章 総合制学校」p.309-326が詳しい。
『こどもたちが学校をつくる ドイツ発・未来の学校』p.182によると、「小学校にあたる基礎学校が4年間であるが6年のところもある。基礎学校が終わると進路は分かれる。職業訓練学校のハウプトシューレ(ハウプトには中心、主、指導者などの意味がある)、上級専門学校への道を開く実科学校、そして大学進学を目指すギムナジウムに分かれる(5~13学年の9年制)。総合学校はこれらのいくつかのタイプをあわせたものを言う。基礎学校とギムナジウムをあわせたような1学年から13学年まであるものから、基礎学校の上の5学年から10学年半までだったり、5学年から13学年、1学年から10学年までなど様々な形態がある。(中略)総合学校の中にはハウプトシューレ、実科学校、ギムナジウムの課程を残して、各課程間の移動が可能(協力型総合学校)と、すべての生徒が共通の教科を履修する学校(統合型総合学校)とがある。統合型では第9学年修了時にハウプトシューレ修了証、第10学年修了時に実科学校修了証を取得でき、また小中高一貫校では13学年後にアビトゥーア(大学入学資格)受験資格を得る」とある。
「現代ドイツ教育の課題 教育格差の現状を中心に」p.9によると、協力型総合制学校のドイツ語は「kooperative Gesamtschule」、統合型総合制学校は「integrierte Gesamtschule」である。
Webで公開されている教育報告書作成著者グループ(Autorengruppe Bildungsberichterstattung)の『ドイツの教育 2014』(Bildung in Deutschland 2014)p.69によると、2012年の総合制学校(Integrierte Gesamtschule)校数は1,232校。
2006年から2014年までのより詳細な学校数と生徒数の年別推移データは「Bildungsbericht 2014」ページの「D Allgemeinbildende Schule und non-formale Lernwelten im Schulalter」、「D1 Schulstruktur und -abgebot」としてExcel形式で公開されている(Tab. D1-1A: Grundschulen und Schulen im Sekundarbereich I (Jg. 5-10) sowie Schülerzahl an diesen Schulen 2006 bis 2012 nach Schularten* (Anzahl))。
それによると、2012年の生徒数は561,252名である。
http://www.bildungsbericht.de/zeigen.html?seite=11123
なお、ドイツの学校制度は州によって異なり、『諸外国の教育改革の動向』p.185によると、総合制学校が普及している地域は「ベルリン市、ハンブルク市、ヘッセン州、ノルトライン・ヴェストファーレン州、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州など、導入時に社会民主党(SPD)が与党を務めていた一部の市州に限られる」。
ただし、学校制度が変わることもあり、総合制学校の進化型ともいえる「すべての子どもがより長く共通の教育課程で学ぶことが可能な新たな学校種『地区総合学校(Gemeinschaftsschule)』」(『諸外国の教育改革の動向』p.186)を導入する地域や、学校種を統廃合する動きがあることが『諸外国の教育動向 2013年度版』p.134で示されている。
例えば『諸外国の教育動向 2010年度版』p.146に、ベルリン市の学校制度が「近年のハウプトシューレからの生徒離れを背景に、同学校種と実科学校、総合制学校を「中等学校」へと統廃合し、中等学校とギムナジウムからなる二分岐型の学校制度を2010年度新学期からスタートさせた」旨が記されている。
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