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スイス銀行の概要と口座開設について
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『図解スイス銀行』p.2,9-11によると、“秘密口座”“隠し口座”として連想するスイスの銀行は「個人銀行(プライベートバンク)」と呼ばれるもので、「スイス銀行」という固有名の銀行があるわけではない。なお、『富裕層ビジネス』p.31-32、『プライベートバンクの嘘と真実』p.58-60によると、プライベートバンクの概念について、ヨーロッパでは以下のように二分類されるが、日本では両者の区別は曖昧とされる。両者の相違点特徴については『図解スイス銀行』p.135や『スイス・プライベートバンク口座開設のすすめ』p.103で表形式にまとめられている。
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1.純粋のプライベートバンク
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『図解スイス銀行』p.135、『プライベートバンクの嘘と真実』p.70によると、組織形態がプライベートバンキング業務専業であり、無限責任のパートナー制(万が一のことがあった場合、顧客に対しパートナーが個人的に最後まで債務を負う)であること、非上場であることが一般の商業銀行と異なる点である。また、業務の特徴として「資産運用に特化」「一般的な融資を行わない」「自己勘定での運用はしない」「提案型資産運用」という点を挙げている。
なお、『富裕層ビジネス』p.32によると、資産運用に加えて「税務相談・法律相談・子息の学校選択相談などの非金融サービス」も事業内容とされる。
『プライベートバンクの嘘と真実』p.63-65、『プライベートバンク本当の使い方』p.72-84、『図解スイス銀行』p.153によると、パートナーの無限責任といった条件を満たすプライベートバンクが加盟する組織として「スイス・プライベートバンカーズ協会(Swiss Private Bankers Association、SPBA)」があり、協会のWebサイト(http://www.swissprivatebankers.ch/)には6行が加盟行として掲載されている(2018年3月6日確認)。また、SPBAの一部加盟行は「パートナーの無限責任を放棄(有限責任に転換)」した「スイス・プライベートバンク協会(The Association of Swiss Private Banks、ASPB)」を設立しており、協会のWebサイト
(https://www.abps.ch/)には10行が加盟行として掲載されている(2018年3月6日確認)。以下に代表的なスイスのプライベートバンクを挙げる(設立年順)。
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・Wegelin & Co(ウェゲリン)
1741年設立。『資金3,000万円からできる『スイス・プライベートバンク活用術』』p.206で概要と特徴を紹介している。
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・Rahn & Bodmer(ラーン・アンド・ボドマー)
1750年設立。SPBAとASPBに加盟。『プライベートバンク本当の使い方』p.84-85、『資金3,000万円からできる『スイス・プライベートバンク活用術』』p.205で概要と特徴を紹介している。
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・Landolt & Cie SA(ランドルト)
1780年設立。ASPBに加盟。『資金3,000万円からできる『スイス・プライベートバンク活用術』』p.202で概要と特徴を紹介している。
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・Hottinger & Cie(ホッティンガー)
1786年設立。『資金3,000万円からできる『スイス・プライベートバンク活用術』』p.202で概要と特徴を紹介している。
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・La Roche & Co Banquiers(ラ・ロッシュ)
1787年設立。『資金3,000万円からできる『スイス・プライベートバンク活用術』』p.203で概要と特徴を紹介している。
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・Lombard Odier(ロンバー・オディエ)
1796年設立。ASPBに加盟。『プライベートバンク本当の使い方』p.86、『図解スイス銀行』p.128-133、『資金3,000万円からできる『スイス・プライベートバンク活用術』』p.203では、1798年創業のダリエヘンチと合併して2002年に誕生したLombard Odier Darier Hentsch & Cieの概要と特徴を紹介している。
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・Pictet(ピクテ)
1805年設立。ASPBに加盟。『資金3,000万円からできる『スイス・プライベートバンク活用術』』p.205で概要と特徴を紹介している。
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・Mirabaud(ミラボー)
1819年設立。ASPBに加盟。『資金3,000万円からできる『スイス・プライベートバンク活用術』』p.204で概要と特徴を紹介している。
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・Bordier & Cie(ボルディエ)
1844年設立。SPBAとASPBに加盟。『プライベートバンク本当の使い方』p.80-81、『資金3,000万円からできる『スイス・プライベートバンク活用術』』p.200で概要と特徴を紹介している。
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・Gonet & Cie SA(ゴネ)
1845年設立。ASPBに加盟。『資金3,000万円からできる『スイス・プライベートバンク活用術』』p.201で概要と特徴を紹介している。
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・Mourgue d’Algue & Cie(モルギュアルギュ)
1869年設立。SPBAとASPBに加盟。『プライベートバンク本当の使い方』p.83、『資金3,000万円からできる『スイス・プライベートバンク活用術』』p.204で概要と特徴を紹介している。
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・E. Gutzwiller & Cie(グッツウィラー)
1886年設立。SPBAとASPBに加盟。『プライベートバンク本当の使い方』p.81-82、『資金3,000万円からできる『スイス・プライベートバンク活用術』』p.201で概要と特徴を紹介している。
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・Baumann & Cie(バウマン)
1920年設立。SPBAに加盟。『プライベートバンク本当の使い方』p.79-80、『資金3,000万円からできる『スイス・プライベートバンク活用術』』p.200で概要と特徴を紹介している。
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・Reichmuth & Co(ライヒムート)
1995年設立。SPBAとASPBに加盟。『プライベートバンク本当の使い方』p.85、『資金3,000万円からできる『スイス・プライベートバンク活用術』』p.206で概要と特徴を紹介している。
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・Neue Helvetische Bank(ノイエ・ヘルベティシュ)
2012年創業。『プライベートバンク本当の使い方』p.85で概要と特徴を紹介している。
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なお、『プライベートバンク本当の使い方』p.88-91では他にもリヒテンシュタインのBank Frick(バンク・フリック)とVP Bank(ブイピー・バンク)、オーストリアのCapital Bank(キャピタル・バンク)の概要と特徴を紹介している。
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2.大手銀行の専担部門(プライベートバンキング部門)
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『図解スイス銀行』p.135によると、組織形態が複数部門の一部分であり、上場している株式会社(有限責任)であることが、純粋のプライベートバンクとの違いであるとされる。また、業務の特徴を比較すると「資産運用は一業務」「一般的な融資を行う」「自己勘定での運用」「プロダクトドリブン」という点が挙げられる。
日本でも事業展開しているクレディ・スイスやUBSが知られるが、『プライベートバンクの嘘と真実』p.58-60によると、専業ではないことからスイスではプライベートバンクとして認識されていないという見方もあるようである。
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口座開設について
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口座開設の流れは『プライベートバンクの嘘と真実』p.176-182によると、次のようなステップを踏む。
(1)プライベートバンクとコンタクトをとる
(2)事前審査を受ける
(3)面談を行う
(4)口座番号をもらう
(5)資金を振り込む
プライベートバンクに口座を持つ著者による『スイス・プライベートバンク口座開設のすすめ』(2005年出版)p.33-71では、実際のやり取りを再現して紹介しているほか、p.192-195にプライベートバンクと初めてコンタクトを取る際のメール・手紙用フォーマットが掲載されている。
また、『初めてのスイスプライベートバンク入門』p.42-49では「プライベートバンク体験レポート」と題して、2億円の資産を運用するという仮定の下、上記「2.大手銀行の専担部門」に該当するUBS銀行東京支店での取引の流れを詳しく紹介している。
なお、口座開設の基準はプライベートバンクによって異なるが、『初めてのスイスプライベートバンク入門』p.82では、例として三井住友フィナンシャルグループ・バークレイズが金融資産5億円以上、三菱UFJモルガン・スタンレーPB証券が金融資産1億円以上、UBSが預入資産2億円以上、クレディ・スイスが金融資産10億円以上、ロンバー・オディエの預入資産3億円以上という基準額の例を掲載している(2016年3月時点)。
ただし、本場のプライベートバンクは、資産面で条件を満たしていても、信用に値しないと判断された場合は取引を断られるケースがあることを『プライベートバンクの嘘と真実』p.56、『図解スイス銀行』p.134-135、『資金3,000万円からできる『スイス・プライベートバンク活用術』』p.69-70などで指摘している。
ほか、プライベートバンクの口座開設方法や取引について、著者自身の体験談を含め紹介した資料には2006年刊の『プライベートバンク本当の使い方』、2003年刊の『スイス銀行体験記』、2016年刊の『初めてのスイスプライベートバンク入門』(上記「2.大手銀行の専担部門」に特化)などが当館にあるが、出版年が古いものも多く、情勢が変わっている可能性があることに注意したい。
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