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アボガドロ定数の測定法

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アボガドロ定数の測定法には、どんなものがあるか。

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①『最新知識単位・定数小事典』には、「第3部 定数の章」に説明がある。アボガドロの気体の法則が発表された後、アボガドロ定数を求める実験が多数行われたことが紹介されている。「初期の実験は気体分子運動論に基づいて、平均自由行程や拡散係数から求めるものや、ファンデルワールスの状態方程式から求めるもの、光の散乱を用いるものなどがありましたが、桁違いの値が出ています。」とある。
二十世紀に入って、ブラウン運動の観測から測定する方法(1908年)や、ミリカンによる電気素量とファラデーの法則を組み合わせる測定法が発表されたが、正確ではなかったと説明されている。
「現在の測定法はX線による結晶解析が使われます。」とあり、詳しい方法が説明されている。また、2003年に「つくば市にある産業技術総合研究所(旧計量研究所)が独自に開発したX線結晶密度法によって得られたアボガドロ定数、およびその値から導かれたプランク定数がCODATAで採用されたようです。」とある。

②『量子力学入門』には、「1.原子・分子の実在」に説明がある。アインシュタインがブラウン運動の観測によってアボガドロ定数を決定したことが詳しく説明されている。また、フランスの実験物理学者ジャン・ペランは、ブラウン運動の性質を徹底的に検証し、アボガドロ定数の値として現在知られている値に近い数字を得たとある。

③『物理定数とは何か』には、「第9章アボガドロ定数」に説明がある。ロシュミットによる最初の見つもりや、空の青さとの関係、ブラウン運動による測定、アインシュタインやペランの研究、電気素量による測定について、解説されている。また、1863年から1965年まで、誰がどのような方法で測定し、どういう数値が出たか、表にして紹介している。

④『高校化学実験集』には、実験の事例として「アボガドロ定数をもとめる」が掲載されている。山本勝博氏(茨城大学)の考案で、イオン結晶のもつ劈開性を利用して測定するとある。また、「アボガドロ定数をもとめる他の方法として、①ステアリン酸を用いた分子膜面の測定 ②電気素量とファラデー定数の測定 ③X線構造解析による結晶密度の測定 ④ブラウン運動の軌跡の測定 などがあります。」とある。「ブラウン運動の軌跡の測定」については、別の実験事例「ブラウン運動の観察」で詳しく説明されている。

⑤『岩波講座物理の世界 ものを見るとらえる9』には、「4 単位を定義する現象」に説明がある。キログラムを定義するために原器を使用していたが、「原器に代わって、原子によって質量を定義する2つの方法が考えられている。ひとつはシリコン結晶の密度、モル質量、格子定数からアボガドロ定数を決定するX線結晶密度法である。もうひとつは、電気標準を基準として、プランク定数とアボガドロ定数の正確な関係を使うことである。」とあり、X線結晶密度法については、さらに詳しい説明がある。X線結晶密度法では、正確な体積測定が必要となり、日本のグループが正確な体積のSi球の製造を実現した、とある。

⑥「キログラムとモルの新しい定義」は、2019年5月20日にキログラムの定義がプランク定数を基準とする定義へ移行したことを解説している。プランク定数を測定するために、まずアボガドロ定数を求める必要があり、その測定の経緯や方法が詳細に説明されている。2003年に当時の世界最高精度でアボガドロ定数が測定されたがキログラムの定義に使用するにはまだ精度が低く、精度を高めるため、2004年に「アボガドロ国際プロジェクト」が開始され、7つの海外の研究機関が協力し、日本からは産総研が参加したとある。アボガドロ定数の測定に必要な、シリコン球体の体積の測定法などが記載されている。

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アボガドロ定数の測定法

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①海老原寛『最新知識単位・定数小事典』 講談社,2005,6,184p. 参照はp.163-164.
②松下貢『量子力学入門』 裳華房,2017,13,276p. 参照はp.9-14.
③西条敏美『物理定数とは何か』 講談社,1996,272,7p. 参照はp.188-209.
④柴原寛泰『高校化学実験集』 電気書院,2015,227p. 参照はp.18-23,60-65.
⑤佐藤文隆『岩波講座物理の世界 ものを見るとらえる9 物理定数とSI単位』 岩波書店,2005,10,86p. 参照はp.56-58.
⑥倉本直樹「キログラムとモルの新しい定義 キログラム原器から物理定数へ」『ぶんせき』533号,2019.5,p.193-200.

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キログラムとモルの新しい定義 キログラム原器から物理定数へ(2019/12/19確認)

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420:物理学

421:理論物理学

375:教育課程.学習指導.教科別教育

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