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話すときに使用する脳の部位

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話すときに使用する脳の部位を知りたい。

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①『ブレインブック みえる脳』
p.146 <言語領域>の<主要な言語野>に、言葉を話すときについて、「ウェルニッケ野が言おうとする内容に合った言葉を選び出すと、弓状束を介して(あるいはゲシュヴィント領域経由のより遠回りな経路をとる可能性もある)その言葉はブローカ野へと運ばれ、舌、口、顎が適切な位置に動くと同時に咽頭が働いて、言葉が音となる。」と解説されている。解説の右側に脳の図があり、関連する部位が図示されている。また、同ページには言語活動に関する3枚のfMRI画像がある。
p.147 <マルチリンガルの脳>には、1種類の言語を話す際にモノリンガル、バイリンガルでともに使われる領域と、バイリンガルが言語を切り替えるときに活性化される領域が図示されている。
p.148-149 <会話>には、<言葉を聞く>と<発語>に分けて脳の活動とその順番が図示されている。<発語>では、話す直前に活性化する6つの重要な領域と、かかる時間をミリ秒(ms)で示している。p.146の前段階「発語以前の段階 概念の言語化」およびp.146の後段階の「発語」「発語の正確なコントロール」まで図示されている。

②『イラストレクチャー認知神経科学 心理学と脳科学が解くこころの仕組み』
p.104-105 第6章<言語> 6.8<言語産出>では、概念準備からレンマ選択、音韻コード選択、音節化、音声的符号化と調音という段階に分けて詳細に説明している。図6.20<文産出のモデル>は、言語産出の代表的なモデルの一つであるルヴェルト(Levelt)のモデル。図6.21<単語産出の神経ネットワーク>は、インデフリー(Indefrey)とルヴェルトによる82の脳機能計測実験のメタ分析の結果が示されている。

③『脳にいどむ言語学 岩波科学ライブラリー 59』
p.42-49 <狭義の言語中枢>の項に、ウェルニケ領域はことばの理解の中枢と考えられており、上側頭回後半部とそれに角回・縁上回を含む場合もあると書かれている。弓状束は言語情報伝達を行う神経線維で、「側頭葉表面の皮質からシルビウス溝の後ろ側を回ってブローカ野に達する」と書かれている。頭頂葉の下部に位置する角回は「文字のような、視覚と聴覚という異なった種類の感覚様式の結びつけを必要とする、人為的記号の操作に不可欠な構造といわれている」と書かれている。頭頂葉の下部に位置する縁上回は、「音の情報を短期的に貯蔵しておく「音韻のワーキングメモリ」の在処ではないかといわれている」と書かれている。
図5には<左大脳半球の外側面>が、図6には<大脳の主要言語領域(左半球)>の図がある。
p.119-121 <ブローカ領域の役割>の項に、左前頭葉の下部にあるブローカ領域は、「かなり早い時間帯での自動的な直列文法演算処理を行うための資源を提供している機能的モジュールのありか」と考えられていることが書かれている。

④『言語の脳科学 脳はどのようにことばを生みだすか』
p.77-79 <言語機能の内部モジュール>の項に、言語システムは統語論、意味論、音韻論のモジュールが構成、脳の言語モジュールはブローカ野、ウェルニッケ野、角回・縁上回のモジュールが候補であると書かれている。「ただし、これらの言語野が統語論・意味論・音韻論のモジュールとどのように対応しているかについては、まだ全容がわかっていない。」とも書かれている。
p.83-85 <失文法>の項に、前頭葉のブローカ野と統語処理について「失文法の存在は、文法機能がモジュール性を示す重要な証拠である」とあり、また、脳機能イメージングでも明らかになってきていると書かれている。
p.159-167 <ブローカ野>の項に、左脳の前頭葉の梗塞によって発話の障害が生じる言語障害があること、この左脳の場所は前頭葉の弁蓋部と三角部を含む下前頭回復側部にあり、ブロードマンの44野と45野にあたる部分でブローカ野と呼ばれていることが書かれている。
<ウェルニッケ野>の項に、話し言葉の理解や、発話時の言葉の選択に障害が現れるウェルニッケ失語と呼ばれるタイプの言語障害があること、この場所は、左脳の側頭葉上部にある側頭平面から上側頭回と中側頭回の後部にかけての領域で、ブロードマンの22野、21野の後部にあたることが書かれている。
p.158 図6-3<ブロードマンの大脳皮質地図>の図がある。
p.160 図6-4<大脳皮質の言語野>にブローカ野、ウェルニッケ野、角回り・縁上回、弓状束の場所が図示されている。
p.240-241 運動性の発話機能が左脳の島皮質(insula:前頭葉下部と側頭葉上部に隠れた大脳皮質)の中心前回に局在することが書かれている。

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話すときに使用する脳の部位

(ハナストキニシヨウスルノウノブイ)

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①Rita Carter, 養老孟司監訳,内山安男訳,柚崎通介訳『ブレインブック みえる脳』 南江堂,2012,255p. 参照はp.146-149.
②村上郁也『イラストレクチャー認知神経科学 心理学と脳科学が解くこころの仕組み』 オーム社,2010,302p. 参照はp.104-105.
③萩原裕子『脳にいどむ言語学 岩波科学ライブラリー 59』 岩波書店,1998,128p. 参照はp.42-49,119-121.
④酒井邦嘉『言語の脳科学 脳はどのようにことばを生みだすか』 中央公論新社,2002,340p. 参照はp.77-79,83-85,159-167,240-241.

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