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昆虫の繭(改訂)

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道ばたで昆虫のたまごのようなものを見つけた。インターネットで調べてみると、蛾の繭だということまでわかった。何の繭なのか調べたい。

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実際に見せてもらうと、木の皮にくっついた状態で、茶色に白がかった色をしていた。大きさを測ると1.3cmほどで、触ると堅さがあった。片方に穴が空いていて、中は空洞になっていた。

①『繭ハンドブック』
p.7-11「原寸大掲載繭一覧」を見たところ、大きさ・色・形からp.11のイラガという蛾の繭だと推測できた。
p.82 詳しい説明と、数種類の繭の写真と幼虫・成虫の写真が掲載されている。繭の大きさは「長さ1.2~1.5cm、直径約1.0cm」で、実物と一致した。特徴は「白地に農褐色の不規則な縞模様がある楕円形、堅い。繭は糸で作られるが、幼虫はお尻からシュウ酸カルシウムの白い液を、口からはタンパク質を含む褐色の液を出し繭層に塗りつけ、これが繭の模様となる。幼虫はカキ、サクラ、ウメ、クヌギ、ヤナギなど多種類の植物を食べ、繭は餌植物の枝に作られる」、「抜け殻繭も長期間、枝に残っている」と記述がある。この特徴的な模様は実物にはなかったが、抜け殻繭の「繭上部のフタが取れ穴が開いている」、「古くなると表面の模様がなくなってくる」という特徴が類似していることから、イラガの抜け殻繭と考えられる。

②『里山図鑑』
p.242-244 イラガの繭づくりの様子が写真とともに載っている。
p.245 イラガの仲間が紹介されている。繭に関しては、「よじれるような白いしま模様が美しい」、「人間の指ではとても割れないこのカプセルから、成虫はどうやってぬけだすのだろうか。ふたつと同じ模様にならないまゆとともに、謎の多い昆虫だ」とある。

①p.80-81にイラガの近縁種であるアオイラガやヒロヘリアオイラガには「繭の表面や周辺に毒棘がある」と記載がある。
③『きもかわチョウとガ』p.60-61にイラガの仲間の幼虫の写真と説明がある。「イラガのイモムシの多くはとっても派手だ」、「北アメリカにいるなかまのイモムシの毒は、人間の大人を寝こませてしまうほどだぞ」ということから、毒を持つことがわかる。
④『蝶と蛾の写真図鑑』p.287にイラガ科の説明と成虫の姿が載っている。③と同様繭に関する記述はないが、幼虫に関しては「動きがナメクジのようだが、体色はとても鮮やかで、有毒なことを示している。幼虫の刺毛は、刺さるととても痛いので、nettle caterpillar(イラクサムシ)として知られる。多くの種が栽培種の穀類を食べる害虫である」と説明がある。
以上のことから、イラガのなかには毒棘を持つものもあり、判断が難しいため、不用意に素手で触らないよう注意が必要である。

なお、一般利用者の方からも「繭の状態であっても毒毛が付着しているケースが多いので安易に触るのは危険である。」とご指摘いただいた。

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昆虫の繭(改訂)

(コンチュウノマユ カイテイ)

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(オカヤマケンリツトショカン)

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①三田村敏正『繭ハンドブック』 文一総合出版,2013,112p. 参照はp.7-11,80-82
②おくやまひさし『里山図鑑』 ポプラ社,2001,303p. 参照はp.242-245.
③ロナルド・オレンスタイン『きもかわチョウとガ』 化学同人,2017,67p. 参照はp.60-61.
④デービッド・カーター『蝶と蛾の写真図鑑』 日本ヴォーグ社,1996,303p. 参照はp.287.

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486.8

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