回答内容
銀行の融資というものは、物品の販売と異なり取引したらそれで終わりではなく契約期間の間はずっと残高が残っています。融資のもとになる資金には調達コストがかかりますが、このコストは一般企業でいう仕入れ値にあたります。調達コストはマーケットや経費の変化により常時変動しているので仕入れ値は常時動いているといえます。一方売値にあたるのは貸し出し金利ですが、売値が固定していると仕入れ値がだんだん高くなった場合売値をこえるというケースもでてきます。また、逆に仕入れ値がだんだん安くなった場合、相場と乖離した高い金利を支払い続けるという借り手のリスクが発生することになります。そのため市場金利を基準に、貸し手・借り手とも常時公平な条件にしようという発想のもとにあるのが変動金利のしくみなのです。 現在、変動金利の基準となるものは、「長期プライムレート」か「短期プライムレート」が中心でその基準金利に一定の金利幅を上乗せして融資金利が決まるしくみが事業性資金も消費者ローンも変動方法の主流です。変動金利融資は融資契約日以後に基準金利が変動すれば、その基準金利の動いた幅だけ連動して上がり下がりするしくみになっています。古いしくみの変動金利は基準金利変動から該当融資の金利が動くタイムラグが6ヶ月とか2ヶ月あったために、実勢の金利の動きとずれた動きをすることがよくありました。現在は2週間以降の返済日対応が中心ですから、実質1ヶ月以内に連動することになりずれが少なくなりました。(上記の基準以外の変動が発生する融資として、制度融資や海外のマーケット金利に連動するもの、一部の住宅ローンなどがあります。) 次に2つの基準金利の意味について説明します。まず長期プライムレートですが、これは国債とも密接な関係のある利付き金融債5年ものに0.9%上乗せした金利です。長期プライムレートは市場金利に近い動きをしますが、銀行の調達金利とは必ずしも一致しないので現在は消費者向けのローンなどの基準となっているだけで事業資金にはほとんど適用されていません。次に短期プライムレートですが、この決定要因は、定期預金・CD・短期市場と経費率などからなっています。 もともと「プライムレート」とは採算ラインに見合う最低の金利(最優遇貸出金利)という意味で、主旨からすれば銀行間で各々独自に設定されるべきものです。しかし、実態は金融機関の種類ごとにほぼ横並びで同じ基準金利となっている場合が多くあります。これらのプライムレートは都銀短プラ・地銀短プラと呼ばれていて、事業資金取り組みの場合の基準となっています。
回答館・回答団体
岡山県産業振興財団