回答内容
トヨタ生産システム(TPSともいう)の目指すものは、ムダの徹底的排除の思想に基づいて、つくり方の合理性、つまり、工数低減を進め、生産性を高める一連の活動です。このトヨタ生産方式をささえる2本の柱として、ジャスト・イン・タイムと自働化があります。ジャスト・イン・タイムを現場的に翻訳したのが「欲しいものを、要る時に、要るだけ、要る部署が取りに行く」です。これは、前工程がつくったものを後工程に送る方式から、後工程から必要なときに必要なものをつくるやり方に部品の流れを変更したものです。これまで、人や設備を遊ばさないようにつくれるだけつくって稼働率を上げることがコストを下げ利益を生むと考えられてきました。現実にはつくり過ぎや売れ残りの在庫が経営を圧迫しています。これからは、売れてはじめて、利益が出るという考えで、カスタマーイン(顧客に対するジャスト・イン・タイム納入)の受注生産を志向し、後工程引き取りで在庫を最小限にします。次に、トヨタでは、単なる自動化ではなく、ニンベンのある自働化が強調されています。不良品を後工程に送らないために、問題の発生した現場では機械やラインを止めて問題点を顕在化させることです。自働機の場合、問題が発生した時、直ぐ停止するようになっていました。ですから、不良品は生産されないし、1人で何台も機械を持つことができます。昨今のように、需要が供給を下回っているような時代はトヨタ生産方式のような仕組みを持つことなしに経営は成り立たなくなっています。ただし、トヨタ生産方式をそのまま自社に導入しても、トヨタほどの効果をあげることはできませんし、場合によっては混乱を招くだけとなります。トヨタ生産方式をベンチマーキングしたうえで、自社の置かれている状況、持っている武器、そしてなにより働いている社員の知恵を活かしながらもっと適したやり方を考える必要があります。
回答館・回答団体
岡山県産業振興財団