回答内容
欧米的な成果主義賃金を導入するためには、アセスメント、自己申告制度、公募制度、さらに目標面接制度の整備、役割評価制度、業績評価制度を整備することが一連の条件となります。しかしそれだけでは無理です。成果主義賃金は年により大きく上下に変動するため、退職金の算定基礎にすることはできません。そのため「退職金制度の抜本的見直し」が必要になります。具体的には勤続点、年齢点、職能点などを整備し、これに一点単価を掛けるポイント制に退職金を切り替えることが前提となるでしょう。次に「賃金カーブの修正」です。日本の賃金はおおむね43歳頃までの前半は働きよりも低い賃金、後半は働きよりも高い賃金というように右上がりの賃金をなし、生涯をかけて清算される長期決済型となっています。そこで今後は退職金などを解体し月例賃金に吸収しながら早急に賃金カーブを後立ちのカーブから、前立ちのカーブに切り替えることが必要になります。さらに中高年層に実力主義・成果主義を入れていくためには、古くなった能力を再生するために、「能力開発支援体制の整備」が絶対の条件になります。体力・気力が衰えた中高年層は能力があっても実力は落ちていき、過去に身につけた能力が現在の知識・技術への適応性を失えば、能力はあっても実力はないものとなるからです。さらに「65歳までの定年延長」、そして「定年までの雇用保証」を制度化することも、労使関係の成果主義賃金の条件となります。なおこれからは「労働組合の公正担保機能の整備強化」も求められていきます。企業内の問題である限り、すべての面で公正さを追及していく姿勢と機能が、新しい制度の導入に伴って労働組合にも必要になります。それが管理、専門職層の問題であろうとも、適性目標、適性労働、健康保持について十分チェック、修正機能を持つことが求められてきます。最後に「評価制度の整備」が成果主義成立のための最大課題であることは否定できません。従来の人事考課(能力考課)を整備すると同時に、職責評価、目標評価、役割評価、業績評価、実力評価、コンピテンシー評価などを新たに追加拡大していくことが要件となります。
回答館・回答団体
岡山県産業振興財団