回答内容
工程管理のプロセスを理解しやすくするために、小規模企業の仕事の流れを見る。社長は「うちは、工程管理などやってないし、係もおりません」といわれるが、受注から納品までの過程をみると、一般に次に列記するようなこと[管理機能]をしている。①注文により、この品物を何個、いつまでに、いくらで出来るかの問い合わせがある[受注引き合い]。②メモや暗算で必要材料と金額、1日の出来高を見積もる[原価見積もり]。③直接費に利益を加算し、世間相場をチェックし、売値を決める[価格決定]。④現在の手持ち受注量とその納期のメモを見て、概略納期を予測する[納期見積もり]。⑤価格と納期について折衝し、受注が成立する[受注・契約]。⑥材料・部品の必要数と在庫を調べ、購入数量を把握する[材料計画]。⑦どの機械で誰が、どういう作業工程順序で生産するかを決める[手順計画]。⑧手順と納期から標準的な生産期間を基に仕事の優先順と日程・納期を決める[日程計画]。⑨材料・部品等を着手日に間に合うよう手配する[資材手配]。⑩図面と材料を各機械に割り当て、各作業者に作業着手と注意を与える[作業指示・差し立て]。⑪仕事の進捗状況を見回りチェックし、遅れがあれば残業等の対策をする[進捗統制]。⑫加工完了後検査し、合格品を倉庫保管する。納期が来たら出荷する[検査、倉庫管理、出荷・納品]。以上の流れを工程管理と認識していないだけで、小規模企業といえども工程管理が実施されている。問題は、一人の経験・記憶・暗算と口頭やメモで指示され、管理され、帳票や記録による制度・仕組みとしての情報伝達が欠けけている。記憶には限界があり忘れ・勘違いのミスが出る。なによりも、社長1人の頭の中に計画があるため、作業者は何も分からない。そのため、納期意識をはじめ責任感や改善意欲がなく、社長まかせになってしまう。顧客の問い合わせにも返答できない。従って、ある一定の管理システムにより生産活動を進めることが必要であり、記録データや帳票による指示、情報の伝達が必要になってくる。
回答館・回答団体
岡山県産業振興財団