回答内容
商品価格の設定は、収益を左右する重要な要素です。自社の事業や社内勢力の声で新商品価格を決めると、マーケティング戦略を誤ります。一般に新商品価格の検討には、顧客、競合、コストの3要素で検討する必要があります。まず顧客の面から、普通、価格と需要は反比例します。価格が高ければ需要は減退し、価格が低ければ需要は増加しますが、実務では新商品コンセプトを見込み客に提示して価値測定をします。それらの結果をもとに価格設定をし、商品仕様を決めたいものです。次に競合の面では、すでに市場で形成された実勢価格がある場合は、自社の新商品の価格設定では、これらに拮抗する既存商品の特性やブランド、流通の支配程度などの力関係を考慮する必要があります。最後にコスト面では、新商品に対しては損益分岐点分析を用いて、経営面から妥当な価格設定をする方法があります。販売数量が少ない赤字状態から、販売数量が増えて黒字状態へ転ずる点が損益分岐点です。標的市場へどれくらい販売できそうか、その見込み販売数量は損益分岐点を越えられるかを検討します。この中でも利益の回収のスピード面からは、特定セグメントのニーズに特化して、新商品を競争品が出る前に高価格で売り、早期に利益を回収する上澄み吸収価格と、その反対の市場浸透価格があります、後者は新商品の導入では競争品に比較して機能をやや増やし性能もやや高めにつくり、かつ低価格で売り出します。市場シェアが取れるようになると、規模の経済性や経験効果が働きコストダウンが図れ、やがて利益が確保できるようになるものです。
回答館・回答団体
岡山県産業振興財団