回答内容
設備保全の専門部署の確立とともに、設備の保全と運転は機能分化(分業化)する傾向を生み、保全は保全マンの仕事であり、作業者は設備の運転だけに責任を持てばよいと考えられるようになりました。この結果、作業者は設備に対する関心をなくし、ちょっとした故障でもその都度保全マンを呼ぶようになっています。しかし、考えてみると設備の状態を最もよく把握できるのは、設備の最も近くにいる作業者自身にほかなりません。作業者が設備の基礎的な知識を身につけ、正しい運転操作と設備の日常的な手入れ(清掃、給油、増締めなど)を行なったならば、故障の早期発見や予防などに大きな効果が期待できます。このことをTPMは実践したわけです。このように、設備の運転部門が分担する保全活動を自主保全といいます。自主保全を導入するには、最初に設備を隅々まで清掃し、長年堆積したゴミや汚れを除去します。ただし、清掃は設備の見た目をきれいにすることではない。“清掃は点検なり”といわれるように、清掃によって設備の潜在的な欠陥(摩耗、詰り、ゆるみ、亀裂、油切れなど)を発見し、処理することに本当の狙いがあります。具体的には、発見した欠陥部位にエフを付けます。そして、その欠陥を処理することを“エフ取り”と称して活動を進めます。また、これらの活動によって作業者の設備に対する関心と愛着心が高められる効果も大きいです。
回答館・回答団体
岡山県産業振興財団