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日本語の標準語・共通語の制定過程と方言の関係について
質問内容
回答内容
標準語・共通語の定義や制定過程につて概略を参考図書で確認する。
①『国語学研究事典では、現代語・方言の章で、標準語の意味と歴史の解説がある。それによれば標準語は「【意味】東京語を母胎にして作られ現実に全国で使われている共通語を、音韻・語彙・語法などあらゆる点についてさらに理想的に磨きあげた言語。(中略)」とあり、続けて「【歴史】わが国には、厳密な意味の標準語はないが、古くから、奈良時代には大和地方のことば、平安時代から室町時代末までは京都のことば、というように、その時代の政治・経済・文化の中心地のことばを、国の規範的・標準的ことばとし、そのほかの地方のことばを俗語と見てきていたようである。(中略)」とある。更に、明治時代以後に「標準語」という名称を用いはじめた経緯や、昭和時代以降の「共通語」の定義なども説明がある。
②『日本語百科大事典』では、方言と共通語の項で、“国語・普通語・標準語”、“共通語をめぐって”として「標準語」「共通語」について詳しい解説がある。内容は①とほぼ同じもの。更に「方言と共通語の葛藤史」の中に“方言撲滅論”として、明治維新以後のことばの統一の流れの中で盛んになった「方言撲滅運動」と、その後に起こった「方言の復権」についての経緯もわかる。それによると、「…(前略)ことばの統一、すなわち標準語の普及は、同時に、方言を抹殺する方向へと進んでいった。方言は国家統一を阻むもの、社会の悪とも言われるようになった。その社会悪を排除するのが標準語教育であり、「方言撲滅」が国語教育における主務となっていったのである。」とあり、各地の学校でのさまざまな事例が紹介されている。その後昭和15年に起こった「方言論争」を契機に、「かつての「方言撲滅」のような暴論は減少し、標準語と方言の共存へと向かっていったが、その影響は「方言コンプレックス」「方言い対する劣等感」として根強く残ることになった。」とある。
次の図書でも、標準語・共通語の制定過程及び、方言の関係について確認できる。
③真田信治著『標準語はいかに成立したか』創拓社 1991刊
④水原明人著『江戸語・東京語・標準語』講談社 1994刊
⑤柴田武著『日本の方言』岩波書店 1958刊
回答館・回答団体
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