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国選弁護人について
質問内容
回答内容
『刑事訴訟法』によると、国選弁護人は、裁判所若しくは裁判長又は裁判官が選任する弁護人をいう。被疑者・被告人が貧困その他の事由により弁護人を選任することができない場合に弁護人を付することとしている。資力のある者が貧困者として国選弁護人を選任することを防ぐため、国選弁護人の請求をする場合は資力申告書の提出を義務づけ、その資力が基準額(50万円)以上である場合には、あらかじめ私選弁護人の申し出をしておかなければならないことになっている。国選弁護人を選任するその他の事由としては、被告人が①未成年者であるとき②年齢が70歳以上の者であるとき③耳の聞こえない者又は口のきけない者であるとき④心神喪失者又は心神耗弱者である疑いがあるとき⑤その他必要と認めるときなどがある。また、被告事件が、死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役、禁錮にあたる事件及び公判前整理手続・期日前整理手続に付された事件で、弁護人が出頭しないとき若しくは在廷・在席しなくなったとき、又は弁護人がないときなどが挙げられる。国選弁護人の選任は、日本司法支援センター(法テラス)を通して裁判長が行うこととなっている。そして、『弁護士という仕事』によると我が国の刑事被告事件の六割以上は国選弁護人の関与によって行われていると述べられている。
では、その待遇はどれほどのものなのか。『こんなにおもしろい弁護士の仕事』によると、報酬は一件当たり7~8万円程度であり、拘留されている被告人と面会したり、法廷に行ったり、証人と打ち合わせに行ったりという手間を考えるとかなり低額であるようだ。『職業としての弁護士』においても、国選の刑事事件を一件担当すると、起訴事実を認めて約1時間の審理をし、次回判決言い渡し、というような簡単な事件でもらえる報酬は7万円ぐらいである。しかし実労時間は最低でも18時間はかかる。記録の謄写費用や交通費、示談の際に持参する手土産代なども実費でかかると述べられているため、報酬利益はさらに低いものとなる。このことが、立派な弁護士たちが国選事件をやりたがらない理由、あるいはボランティアだと言ってはばからない理由であると締めくくられている。
回答館・回答団体
岡山県立図書館
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