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石橋湛山の生産復興第一主義(石橋積極財政)
質問内容
回答内容
生産復興第一主義(石橋積極財政)は、第一次吉田内閣(1946(昭和21)~1947(昭和22))で大蔵大臣に起用された石橋湛山が、昭和21年度衆議院財政演説(昭和21年7月25日)で提唱した「生産増強によりインフレの克服を図る」経済財政方針である(『復興期の日本経済』p.7、『異端の言説 石橋湛山 下』p.214-215、演説全文は『石橋湛山全集 第13巻』p.186-202)。
要約すると、「①枢軸産業に対する特殊の促進策、特に石炭、肥料などの増産対策、②復興金融の強力な推進、③産業の合理化、④失業受入体制の強力な推進、⑤経済の民主化」の五つとされる(『日本リベラルと石橋湛山』p.215)。
石橋本人は、積極的政策を打ち出した理由として「戦後の日本の経済で恐るべきは、むしろインフレではなく、生産が止まり、多量の失業者を発生するデフレ的傾向である」、「むやみに緊縮政策を取ったら、容易ならざる結果を生むであろう」と著書に記している(『石橋湛山 湛山回想』p.265)。
この政策を推進した結果、「実績として、終戦処理費削減の面で幾分成果が見られるものの、インフレ政策による生産回復という主要施策の面では、複雑な理由で必ずしも成功したとはいえなかった。数字の上で、石炭の増産の効果が表れたかもしれないが、インフレの副作用である物価上昇によって相殺され、生活、労働条件の改善をもとめる国民側に生活改善の実感を持たせることは出来なかった」(『石橋湛山の戦後』p.123)とされる。
なお、『石橋湛山の戦後』p.104-107では、大蔵大臣時代を記録・研究した資料を6点紹介している。
回答館・回答団体
岡山県立図書館
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