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食品に含まれる糖の測定方法
質問内容
回答内容
1)糖の測定方法を調べる。
①『食品大百科事典』4.1.7炭水化物の測定(p.354~356)では、「食品の栄養成分分析においては通常、炭水化物は全体(100%)から他の基礎栄養成分(水分,タンパク質,脂質および灰分)を差し引くことにより求められている(差引の炭水化物).また、炭水化物から食物繊維を差し引いた残りを糖質としている(差引の糖質)」との記述がある。
また、糖質の総量を直接測定して得られる全糖測定法として、「試料から糖質成分を抽出した後に吸光光度法により全糖量を測定する方法と、試料をあらかじめ酸で単糖類に加水分解した後に滴定法などにより還元糖量を測定する方法」の記述がある。
4.1.8 糖組成の測定(p.356~358)では、単糖類、オリゴ糖類、糖アルコールの成分を測定する方法について糖の定量法のうち最も一般的な手法と考えられるHPLC法を用いた糖組成の測定についての詳細な記述がある。
②『日本食品標準成分表2015年版(七訂)炭水化物成分表編』(p.1~6)では、「これまで日本食品標準成分表(以下「食品成分表」という)における炭水化物量は、可食部100gから水分、たんぱく質、脂質及び灰分等の合計(g)を差し引いた、いわゆる「差引き法による炭水化物」の値を収載していた。」が、七訂の炭水化物成分表以降は測定した成分値を掲載するようになった旨の記述がある。
(p.5)表2には、利用可能炭水化物、糖アルコール及び有機酸の測定法の名前が記載されている。ここでは、「ぶどう糖、果糖、ガラクトース、しょ糖、麦芽糖、乳糖及びトレハロース」、「ソルビトール及びマンニトール」は高速液体クロマトグラフ法で測定していることが分かる。
③『身のまわりの食品分析実験』7-2糖の測定(p.103~105)に、全糖、還元糖の測定方法の記述がある。全糖とは、ブドウ糖などの単糖類、ショ糖などの二糖類、デンプンなどの多糖類すべてをまとめたものを指し、フェノール-硫酸法による測定法の記述がある。
還元糖とは、糖類の中でブドウ糖など還元性があるものを指し、ソモギーネルソン法による測定法の記述がある。
④『還元糖の定量法 第2版』には、 (p.ⅵ)はじめに で、「各種の分析機器を持つ研究室から分光光度計を持たない研究室に至るまで、どこでも適用しえるよう配慮した」という記述があり、12種類の糖の定量法が紹介されている。(p.ⅲ~ⅳ)第2版への序 には「補充の要点は、①近年開発されたクロマトグラフィーを利用する還元糖の定量法、特に高速液体クロマトグラフィーの利用と、②最近その構造と機能(生理的意義)に注目を集めている複合糖質からの糖鎖切出し法、の2つである」とあり、また、前処理である除蛋白法の記述もある。序章(p.1,4)には、糖定量法をまとめた文献の紹介がある。
2)糖度計による測り方を調べる
③『身のまわりの食品分析実験』7-2糖の測定(p.103~105)に、糖度計による測定の記述がある。糖度計は、「食品に含まれるショ糖の含有量を百分率(%)で表した」糖度を、「水溶液中の可溶性固形分の割合を屈折率を利用して測定する機器」であると記述がある。
⑤「レファレンス協同データベース」を使って調査する。
⑤-1(塩尻市図書館)「果物の糖度について調べたい。おじいちゃんが色々な果物を作っていてとても甘いので糖度を調べたい。どのくらい甘いか知りたいので、いろいろな果物の平均的な糖度が載っている本が見たい。」(登録番号1000218786)より、⑥株式会社ATAGO糖度計ガイドを探すが、現在そのページはない。サイト内にデータブックがあり、屈折計や旋光計のデータブックがあり、原理や用語集、数値を出すために必要な数式などの掲載がある。
⑤-2(埼玉県立久喜図書館)「果物の糖度の計り方を知りたい。」(登録番号1000016717)より、JIS規格(JISB7185携帯砂糖屈折計)の調査をするが、『JISハンドブック 医療機器 2018-3 機器・装置・システム/光学機器/家庭用機器』に現在その番号は存在せず。
⑦「日本産業標準調査会」のサイトよりデータベース検索でJIS規格の検索を行うが該当なし。廃止規格検索を行うと、2006/11/20に廃止になっていることが分かった。分割先・統合先もなし。
⑧雑誌『経済界』第50巻第14号(通巻1043号)「ポケット糖度計が会社を変えた」(p.24-25)という記事から、糖度計は「手持屈折計」という名称であり、「屈折計とは光に対する物質の屈折率を測定するための器械。測定する液体、ゲル、固体などのサンプルを屈折計にのせ、光に透過または反射させることで、そのサンプルの濃度を測ることができる。」という仕組みであることが分かる。
⑨データベース「Japan Knowledge Lib」を使って調査する。
⑨-1.糖度については、『旺文社化学事典』より、「果実などに含まれる糖分の質量パーセント濃度」であり、「糖用屈折計や旋光糖度計を用いて測定され」、糖度の値はブリックス値(Bx)が用いられることが分かる。
⑨-2.糖度計については、『デジタル大辞泉』より、「糖分の濃度によって屈折率が異なる性質を利用」して、糖度を計測する機器であることが分かる。
⑨-3.糖用屈折計については、『旺文社化学事典』より、「スクロース(ショ糖)水溶液の光の屈折率を利用し、糖の含有量をスクロース含量(%)で測定する道具」であり、「スクロース以外のものが含まれていればそれらの影響も受ける」ということが分かる。
⑨-4.旋光糖度計については、『旺文社化学事典』より、「スクロース(ショ糖)の旋光性を利用した糖度計」であり、「試料液に光を通過させて旋光度を調べ、その値を糖度(ブリックス値)として表示できるようにしたもの」ということが分かる。
⑨-5.検糖計については、『旺文社化学事典』より、「スクロース溶液の濃度を、その旋光度から測定するための装置」であり、「ローラン検糖計、ミッチェルリッヒ検糖計、リピッヒ検糖計など」があることが分かる。
また、⑨-6.『日本大百科全書』には、「偏光した光を光学活性物質に照射し、検光子を回転してその回転角でその物質の比旋光度がわかり、温度が一定の場合には回転角が試料溶液の濃度に比例することから糖の濃度を求める。糖類は光学活性物質であり、それぞれの糖は一定の条件下では、固有の旋光値をもっている。」という記述があり、旋光糖度計の詳しい仕組みが分かる。また⑨-7.「ミッチェルリヒの検糖計」の解説と⑨-8.「ミッチェルリヒの検糖計の原理」の画像、⑨-9.「ソレイユ検糖計の構成」の画像がある。
回答館・回答団体
岡山県立図書館
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