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鳥の砂嚢(さのう)
質問内容
回答内容
①『知っておいしい肉事典』
p.99 砂肝の項に「筋胃、すなぶくろ、すなずり、さのう、ずり」と記載がある。
「胃の筋肉の部分で、「すなぶくろ」などたくさんの呼び名をもつ人気の部位です」「鶏は消化器系が発達していないため、この部分に砂を蓄え、餌として食べたものを潰して消化する手助けをしています」と説明がある。部位の場所の表示と写真あり。
②『原色飼鳥大図鑑』
p.66第9図ニワトリの消化器系統 の図の記載がある。
p.67 4.鳥の内部器官(5)消化器の胃の項に、「胃は前胃(ぜんい)と砂嚢(さのう)とからなっている。」「飼い鳥の対象となるもののほとんどは,穀物を主食とする,いわゆるまきえ鳥であるから,これらの鳥には砂嚢がとくによく発達していて,ここに砂やごく小さい石などを貯えていて,前胃からきた堅い食物をくだく作用をしている。」と説明があり、砂嚢がよく発達しているのはキジ科の鳥であり、ウグイスやメジロなどのすりえで飼う鳥は砂嚢があまり発達していないこと、砂嚢を良好な状態で活動させるためには砂や小石が必要で、飼育する場合には箱の底に砂を混ぜておくとよいとことなどが書かれている。
③『獣医家禽診療指針』
p.156-157 第5章ニワトリの臨床解剖図譜の6.10胸腹腔に位置する消化器に前胃から総排泄口に至る臓器の、つながった状態での写真がある。前胃の下に筋胃があることがわかる。
また、6.11前胃・筋胃の項には、その二つの部分だけ取り出した写真とともに筋胃に(砂嚢)との表記もある。そのほか,筋胃の粘膜組織の顕微鏡写真がある。
④『鳥類学』
p.26-27 「鳥類は歯がなく、食物を咀嚼せず丸吞みにするので、消化器官はかみ砕かれていない食物を消化できるように特殊化した」「歯のかわりに、鳥類には砂嚢(筋胃)がある。これは、機能は哺乳類の臼歯と同じであり、構造は強力な筋肉に富み、かたい食物をすりつぶし消化する」「砂嚢にはまた、食物を砕くための小石が入っていることもある」と説明があり、シチメンチョウ、ハト、フィンチなどのように、穀物や種子を食べる鳥の砂嚢は特に大きく強力であり、猛禽類やサギ類のように肉、昆虫、果実などやわらかいものを主食とする鳥の砂嚢は大きな袋状で内壁が薄いことが書かれている。
p.175-180 採食と消化の項に、「筋胃は、ニワトリやアトリ類では大きく、種子をつぶす頑強な構造であるが、魚を食べるヘビウではやわらかいバッグのような構造で、頸部及び胸部のそ嚢で葉を消化するツメバケイでは小さな袋状である。」と書かれている。また、「鳥類の消化プロセスは哺乳類と逆で、筋胃で物理的な消化を行う前に、特殊な構造の前胃で化学的消化が行われる」「前胃は消化腺から酸性の胃液(pH0.2~1.2)を分泌し、食物をよく消化される化学環境をつくり出している」とあり、前胃と筋胃の役割の違いがわかる。
以下に様々な鳥の消化管や筋胃の図がある。
p.178 図6-19鳥類の消化管(A)ハチドリの消化管
p.179 図6-19鳥類の消化管(B)(1)ニワトリの胃、(2)ヘビウの胃、(3)ツメバケイの胃(図はすべて実物の66%の大きさ。)
p.180 図6-21果実食者の特化した胃(A)祖先的なハナドリ類の特化していない筋胃。(B)ボルネオノドアカハナドリの特化した胃では、昆虫は押しつぶすために筋胃へ送られるが、果実は筋胃に送ることはない。(C)未発達な筋胃。(D)レンジャク科では、ヤドリギの果実の外果皮は筋胃で外され、この皮の束は消化できなかった果実をはさむような形で腸に送られる。
回答館・回答団体
岡山県立図書館
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