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雑煮を食べる風習がなかった地域
質問内容
回答内容
①『地図からわかる日本』には、「北海道と沖縄県には雑煮がない?」の項目の中で、「正月に雑煮を食べるのが全国的に一般化したのは江戸時代のことで、当時、北海道と沖縄県には正月に雑煮を食べる習慣がありませんでした。現在では、どちらの地域でも雑煮を食べることはありますが、とくに北海道では、雑煮は明治時代以降に移住者たちが持ちこんだとされるため、家庭ごとで雑煮の味はさまざまです。沖縄県では、正月には豚のモツを使った「中身汁」などを食べたりします。」と記載がある。
②『日本の「食」とくらし 1 地域ごとに比較しよう』には、沖縄県について、「お雑煮を食べる習慣がない。」と記載がある。北海道については、雑煮を食べる風習がなかったことについては記載がないが、「先祖の出身地によって、さまざまなお雑煮がある。」と記載されている。
徳島県東祖谷山村については、「お雑煮にもちは入れず、さといもの親芋と豆腐でつくる。もちは、お雑煮の前に食べる。」と記載されていて、さらに、「もちを入れないお雑煮も・・・」というコラムの中で、「徳島県祖谷地方の伝統的なお雑煮は、「かしら」というさといもの親芋を3個入れ、その上に、少しかたい豆腐を2個、交差させてのせたもので、もちは入れない。このお雑煮の前に、雑穀、白、あんこのもちを食べる。また、正月に雑煮をつくらない地域や家、もちを食べない「もちなし正月」の地域や家もあるよ。」と書かれている。
③『日本の伝統文化和食 4 楽しもう!和食と伝統行事』には、もちがない雑煮「もちなし雑煮」について、「徳島県三好市東祖谷地区に伝わる「うちちがえ雑煮」は、まいも(さといも)とじゃがいも、とうふをいりこだしとしょうゆで味つけするもちなし雑煮です。平家の落人伝説が残る山深い地域で、米が作れる平地は少なく、昔はいもが主食でした。いもの上にとうふを十文字(うちちがえ)に重ね、平家が戦で刃を交えたようすを表したといわれます。」と記載がある。
④『へえ!もっと知りたくなる日本の四季と行事 秋・冬』にも、p.49に徳島県祖谷地方の「うちちがえぞうに」について簡単な記載がある。また、p.76の「おぞうになのにもちがない?「もちなしぞうに」と「もちなし正月」」の項目の中で、「おぞうにの主役といえばおもちですが、なかにはおもちが入っていないおぞうにを食べる地域があります。その昔、山間部などでは、とうふやサトイモを使っておぞうにを作っていました。げんざいでも、徳島県の「うちちがえぞうに」を代表として、さまざまな地域で受けつがれています。また、お正月におもちを食べることをさける、「もちなし正月」も各地にあります。それらの土地では、「先祖がおもちの用意に苦労した」、「おもちをついたら火事やあらそいごとが起きた」などの言いつたえとともに守られてきました。」と記載がある。
⑤『伝統食』にも、北海道と沖縄県の雑煮について、資料①と同様の記載がある。
⑥『日本の地理21世紀』にも、北海道の雑煮について、資料①と同様の記載がある。
①~⑥のほかに、⑦『郷土料理のおいしいレシピ 西日本編』、⑧『日本全国味めぐり!ご当地グルメと郷土料理 [1] ごはん・麺・粉物』、⑨『郷土料理』、⑩『都道府県別日本の伝統文化 2 関東』、⑪『給食ではじめる食育 3 郷土から生まれる給食』について、全国の雑煮の項目を確認したが、雑煮を食べる風習がなかった地域や餅を入れない雑煮を食べる地域についての記載はなかった。
なお、一般書ではあるが、⑫『日本史大事典 4 す~て』の「雑煮」の項目には、「「餅無し正月」といって正月三箇日に餅を食べたり神や仏に供えることを禁忌する一族や地域が存在する」と記載があり、「それは近畿地方には例が少ないが、中部から関東、中国から四国地方に分布している。この地方では雑煮は里芋を煮た汁物が多く、次いで蕎麦粉を用いた手打ち蕎麦、蕎麦餅さらに大根や蕪を煮た汁物などであり、麦粉を打ったうどんのところもある。」と書かれている。
回答館・回答団体
岡山県立図書館
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