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イシクラゲの毒性の有無
質問内容
回答内容
この物体が地衣類であると推測し、①『街なかの地衣類ハンドブック』を参照したところ、カラー写真にシアノバクテリア(イシクラゲ)と書かれていた。p.5に「地衣類と間違われやすい生き物の代表は、先にも述べた通りコケ植物です。コケ植物は、蘚類(せんるい)・苔類(たいるい)・ツノゴケ類に分類されますが、いずれも地衣類っぽい形の種があります。その他に、スミレモやクロレラなどの緑藻類、イシクラゲなどのシアノバクテリア(=藍藻類)、きのこ類、カビ類、変形菌類などもしばしば地衣類と間違われます。」と記述されており、この物体はイシクラゲというシアノバクテリア(藍藻類)であることがわかった。
そこで、藍藻類について②『朝日百科植物の世界12』を参照したところ、p.284のカラー写真に「ノストック・ウェルコスム」と記載されていた。同ページに、「中国ではネンジュモ属の仲間が貴重で高価な食べ物である。中華料理で珍重されるのがハッサイ(髪菜)Nostoc commune var.flagelliformis で、中国西北部に生育する。日本ではイシクラゲ、アネガワクラゲなどとよばれているノストック・ウェルコスム N.verrucosum が、昔から食用として知られている。ネンジュモ属の糸状体の形態はアナベナ属と類似するが、多くの糸状体が複雑にねじれ、からみ合い、集合し、周囲に寒天物質を分泌するので、全体は肉眼でも見える群体となる。」と記述されていた。これにより、イシクラゲに毒性はないことがわかる。
③『ミドリムシの仲間がつくる地球環境と健康』では、イシクラゲの多様な生理作用についても言及されている。
④「盆栽世界」の「あの気持ち悪い厄介者の藍藻類「イシクラゲ」の駆除について」という記事のp.50に「梅雨時や涼しくなった秋口に、盆栽鉢の表土に発生するイシクラゲ。濡れるとプルプルとした寒天状で弾力がある。色はオリーブブラウンで透明に近い。見た目は気持ち悪いが、酢の物などにして食べることができ、別名"岩キクラゲ”とも呼ばれる。しかし、本来のキクラゲはキノコの仲間で、こちらはまったく違う藍藻類の仲間だ。」とあり、漂白剤など7種類の液体を使った駆除実験も記載されている。
また、⑤から⑧にシアノバクテリアについての記述はあるが、イシクラゲについては言及されていない。
⑨『食と微生物の事典』のp.464に「食べられるシアノバクテリア」という項目でイシクラゲが紹介されている。ここからも、イシクラゲに毒性はないことがわかる。
回答館・回答団体
岡山県立図書館
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