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大型動物の骨格標本
質問内容
回答内容
①『標本の作り方』では、p.125-127に哺乳類の骨格標本の作り方が出ている。骨を頭部・頸部・胸部などに切り分けて肉を取り除いた後、骨に残った肉をきれいにする方法として、腐敗、虫のえさ法、お鍋法、野ざらし法が挙げられている。
このうち野ざらし法の説明に、大型獣は野ざらしにするか、砂場のような場所に埋め、虫たちが残りの肉を食べてくれたころに回収する、とある。
②『標本学』では、p.101-102に四足動物について、煮沸と腐敗によって骨格標本を作ると書かれている。
煮沸は温度を上げて煮ることで軟部組織を除去できる、とある。サイズの大きい動物は、専用の電熱式晒骨機というヒーターで水温を制御できる大きな水槽のような道具を使うと、長手内寸1500mm以上であれば、ゾウ以外の陸上動物の骨格が作れると書かれている。
また場所を確保できれば、水に入れた遺体を放置し腐敗させる方法や、埋設する方法もとれる、とある。
③『標本バカ』では、p.36-39にアザラシとトド、p.90-93とp.98-101とp.212-215にゾウ、p.118-121にキリンの骨格標本を作る様子が出ている。
皮や肉を取り除いた骨をドラム缶や大型の衣装ケースに入れて水に漬ける、解体して埋設し翌年掘り返す、解体して肉を取り除いた骨を大型骨格標本作製用の処理槽に入れて高温で保温する、という方法がとられている。処理槽に入れる方法では、キリンは70度の温度で2週間ほど、アジアゾウの頭骨は3週間ほど入れたことが書かれている。
④『鯨類の骨学』では、p.114-119にクジラの骨標本作製法が出ており、長期間放置法、加熱法、薬品使用法(酵素法)、生物使用法(カツオブシムシ法)の4つがある、とある。
長期間放置法は軟組織を取り除いたあと、残りの軟組織が腐敗し分解されるまで放置する方法で、戸外で野晒しにする大気中放置法(夏季なら数週間)、土に穴を掘り数年間埋める土中放置法(推奨される埋設期間は2年間ほど)、樽などに張った水の中に数カ月沈める水中放置法がある。
加熱法は死体を沈めた水を60~80℃の定温に加熱し約1週間処理し、軟組織を熱変性させて骨から除去しやすくする。温度設定が可能なバケツヒーターや、調理用ステンレス製寸動鍋とサーモスタットヒーターを組み合わせたもの、保温機能のついた炊飯器やスープジャーなども便利であると書かれている。また博物館や大学では、急速遺体防腐処理装置を応用している場合もある、とある。
薬品使用法(酵素法)はアルカリ製剤や蛋白分解酵素で軟組織を溶かす。クジラの場合は蛋白分解酵素がしばしば使用され、酵素水溶液と死体を鍋に入れ50~70℃に加温すると、1~3日で軟組織がほとんど骨から分離する、とある。
生物使用法(カツオブシムシ法)は、国内ではハラジロカツオブシムシを主に利用しており、虫を集めて飼育しておき、生まれた幼虫に軟組織を食べさせる。
⑤『ビジュアルブック骨』では、p.41に遺体を解剖したあと骨に付着した肉を完全に取り除くために、煮る方法、昆虫を使う方法が出ている。
煮る方法では、70度C前後のお湯で2~3日間煮つづけると肉が落ちるか、簡単に骨からはがせるようになる、とある。昆虫を使う方法では、カツオブシムシが使われ、季節や標本のサイズによるが、2~3日間で肉をすべて食べる、とある。
また大型の標本は、土に埋めてくさらせてつくることもある、とある。
⑥『キリン解剖記』では、p.25-26にキリンの骨格標本を作る方法が出ている。解剖した後、皮膚や筋肉を削ぎ落して、「晒骨機」と呼ばれる機械(長さ2m、高さ1m、幅1mほど)で煮ると書かれている。この機械に入れて75度で2、3週間ほど煮ると、骨から筋肉や腱が外れるようになるので、残った肉片や油を水で洗い流して乾燥させる、とある。
回答館・回答団体
岡山県立図書館
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