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貝の食中毒
質問内容
回答内容
①インターネットで食中毒の統計を検索すると、厚生労働省の「食中毒統計資料」がヒットした。
まず「(2)過去の食中毒発生状況」を見ると、「③原因食品別月別食中毒発生状況」の「原因食品」に「貝類」がある。2016年から2020年までを見たところ、それぞれの年で事件があり患者はいるが、死者はいない。
次に「(3)過去の食中毒事件一覧」を見ると、「原因食品」「病因物質」の項目があり、食中毒を起こした貝の種類が出ている。2016年から2020年までを見たところ、ツブ貝(ヒメエゾボラ、アヤボラ、エゾボラモドキ)、エゾバイ科の巻き貝、白ミル貝(ナミ貝の内臓)があり、これらの「病因物質」は「動物性自然毒」とある。また刺身の盛り合わせに含まれたもので、赤貝、タイラ貝、生ホタテ、ホッキ貝がある。これらの「病因物質」は「寄生虫アニサキス」とあるが、他の魚が原因である可能性がある。
②「動物性自然毒」について『食中毒予防必携』を見ると、「3.貝毒」がある。p.465「(1)貝毒とは」に、「二枚貝は水中の懸濁物をエラでこし集めて餌としているので、有毒プランクトンが出現すると毒を蓄積し、ヒトに中毒を起こすことがある」とある。
同頁によると麻痺性貝毒に死亡例があり、p.467「(2)主な症状」に「重症になると呼吸麻痺により死亡する」とある。p.468「(4)主な汚染食品」にホタテガイ、アカザラガイ、ムラサキイガイ、アサリ、マガキがある。
③『貝毒の謎』を見ると、以下のものに死亡例がある。
麻痺性貝毒(PSP)はp.1に症状が書かれており、症状が進むと、呼吸麻痺を起こし死亡する、とある。p.43「表1-10日本におけるPSP中毒事例」に、1948年7月~1997年3月に起きた中毒について原因となった貝、患者数(死者)が出ている。死亡例がある貝はアサリ、アカザラ、ムラサキイガイである。
記憶喪失性貝毒(ドウモイ酸)(ASP)はp.57に、1987年にカナダのプリンス・エドワード島周辺で養殖ムラサキイガイによる食中毒が起き、死者が出たことが書かれている。
スルガトキシン(バイの毒)はp.84と85に、1957年に新潟県でバイによる食中毒が起き、死者が出たことが書かれている。
ベネルピン(アサリの毒)はp.85に、1889~1950年に神奈川県や静岡県でカキやアサリによる食中毒が起き、死者が出たことが書かれている。p.86に重症の場合には意識障害を起こし、1週間以内に死亡する、とある。
コリン誘導体はp.90に、アクキガイ科の巻貝による食中毒で死亡例がある、とある。
テトロドトキシン(フグ毒)はp.99に、中国浙江省で1997~2001年までにハナムシロガイやアラレガイによる食中毒が起き、死者が出た、とある。また2002年に中国福建省で起きたハナムシロガイ近縁種による食中毒でも死者が出たと書かれている。
回答館・回答団体
岡山県立図書館
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