デジタル岡山大百科 | 岡山県立図書館

果物の追熟

質問内容

果物が木や枝などから外しても、熟成が進むのはなぜか。

回答内容

①『身のまわりで学ぶ生物のしくみ』によると果物の追熟とは、「果物は熟した状態がおいしいですね。(中略)種類によっては、熟してしまうとやわらかすぎて輸送が困難になるものがあります。このような果物は、未熟なうちに収穫して、輸送中に熟させたり、人為的に熟させたりします。この『収穫してから人工的に熟させること』を追熟といいます。」とある。また、果物が熟すとき、果物はエチレンという気体を発生させ、成熟にともなってさらにたくさんのエチレンが放出されて追熟が進み食べごろになるといった説明もある。

②『花と植物おもしろ雑学王』には、「エチレンには、生育を抑えるいっぽう、果実の成熟を早める働きがある。果物から発生するエチレンの量は、計測するのもむずかしいほどごくわずかだが、その効果は大きい。1個の熟した果物から出るエチレンで、なんと500個もの果物を熟させることができるのだ。」とある。
③『植物学「超」入門』にも、「リンゴ箱の中に熟したリンゴを見つけたら、すぐに箱から取り出せ」と昔から言われていることを紹介している。また、石油ストーブによる暖房ではエチレンが放出されるので果物は成熟するが、スチーム暖房ではエチレンが放出されないので成熟はしないといった説明もある。

④「エチレン応答における遺伝子発現制御」では、「エチレンは植物ホルモンのなかで唯一のガス状ホルモンである。アルケンのなかでもC₂H₄というもっとも単純な構造をもつエチレンは、果実の成熟を促進することから成熟ホルモンとよばれているが、それ以外にも、植物の発生から花の性決定、老化にいたるまで、多くの重要な生理的プロセスを制御している。」として、エチレンの植物への影響を詳しく説明している。

回答館・回答団体

岡山県立図書館

カテゴリ情報

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レファレンス事例
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果物の追熟

(クダモノノツイジュク)

回答した図書館または団体
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または団体

岡山県立図書館

(オカヤマケンリツトショカン)

情報源(回答)
情報源(回答)

①青野裕幸、桑嶋幹『身のまわりで学ぶ生物のしくみ』 秀和システム,2006,231p.参照はp.36-37.
②博学こだわり倶楽部『花と植物おもしろ雑学王』 河出書房新社,2007,222p.参照はp.38-39.
③田中修『植物学「超」入門』 SBクリエイティブ,2016,206p.参照はp.120-121.
④服部洋子ほか「エチレン応答における遺伝子発現制御」『植物のシグナル伝達』 共立出版,2010,238p.参照はp.126-132.

NDC分類
NDC分類

470:植物学

471:一般植物学

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