デジタル岡山大百科 | 岡山県立図書館

左利きの矯正

質問内容

左利きの矯正と、吃音との関係について触れている資料はあるか。

回答内容

以下に、左利きの矯正と吃音の関係について述べている資料をあげる。

【関係があるとする資料】
①『左と右の世界』には「左利きを無理に矯正すると吃音などの言語障害をおこすとよくいわれるのは、手と言語との半球機能を媒介にした密接な関係を示唆するものである。」とある。

②『1万人の脳を見た名医が教えるすごい左利き』にコラム「子どもは右利きに矯正したほうがいい?」があり、「あまりに幼い頃に右利きに矯正すると、脳内に新たな回路をつくることで脳に混乱をきたすことがあります。私の場合も、右と左を言い間違えたり、吃音が出ることがありました。」とある。

③『左利きの子』は「利き手は変えるべき?」の項で、「ぜったいに『ノー』です!」と述べている。文字を書く利き手を矯正することによる副作用として、記憶障害、空間識失調(右や左が分からなくなる)、吃音障害(どもり、吃音)等の可能性をあげている。

④『図解眠れなくなるほど面白い左利きの話』では、「以前は、実際に無理な矯正に苦しむ人も多くいたようで、なかにはそのストレスから不安定な心理状態になり、吃音症などになってしまう人もいたそうです。」とある。

⑤『左利きの言い分』では、左利き友の会の創設者で精神科医でもあった箱崎総一が「左ききの矯正が子どもの心身両面に引き起こす症状」の一つの段階として「どもりが発生するケースもある。」をあげていることを紹介している。

【関係がないとする資料】
⑥『子どもがどもっていると感じたら』では「吃音の原因は何か」の項目で、「過去には左利きを右利きに矯正すると吃音になると考えた時代がありました。一九三〇年代のことです。(中略)しかし最新医学の手法を用いて研究が積み重ねられても、吃音者の脳には吃音の原因と断定できるような異常は発見されていません。したがって、利き手矯正が脳に混乱をもたらし、吃音を引き起こすとは信じられていません。」と説明がある。

⑦『吃音のことがよくわかる本』でも、吃音の原因の一つとして、矯正説が唱えられていたことがあったが、その後の研究により否定されていると述べられている。

【関係は不明とする資料】
⑧『岩波講座現代教育学 14 身体と教育』に「吃音の原因として左利きの矯正が挙げられているが、特に明らかにされているわけではない。」とある。

⑨『ぼくは左きき』では、「『矯正』と吃音の関係については、今でも、はっきりとした因果関係は分かっていないようです。」としながら、「しかし、わたしは、体験的に、自分が吃音になったのは、『矯正』が関係しているのではないかと思っております。」とある。

回答館・回答団体

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左利きの矯正

(ヒダリキキ ノ キョウセイ)

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岡山県立図書館

(オカヤマケンリツトショカン)

情報源(回答)
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①原田馨『左と右の世界』 朝倉書店,1981,234p.参照はp.193-194.
②加藤俊徳『1万人の脳を見た名医が教えるすごい左利き』 ダイヤモンド社,2021,199p.参照はp.165-166.
③ローレン・ミルソム『左利きの子』 東京書籍,2009,127p.参照はp.36-37.
④八田武志『図解眠れなくなるほど面白い左利きの話』 日本文芸社,2022,127p.参照はp.72-73.
⑤大路直哉『左利きの言い分』 PHP研究所,2023,274p.参照はp.247-249.
⑥広嶌忍『子どもがどもっていると感じたら』 大月書店,2004,158p.参照はp.17-20.
⑦菊池良和『吃音のことがよくわかる本』 講談社,2015,98p.参照はp.14-15.
⑧『岩波講座現代教育学 14 身体と教育』 岩波書店,1962,357p.参照はp.95.
⑨度会金孝『ぼくは左きき』 日本機関紙出版センター,2014,209p.参照はp.101-102.

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378.5

491.37

496.9

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