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棄権の自由
質問内容
回答内容
①『新編現代政治過程』では、4章1の「2) 選挙の原則」に、「自由選挙の原則とは、投票の自由について定めたものである。投票の自由とは、投票をするかしないかを、個人の意思で自由に決定することができるというものである。(中略)投票をすることは個人の権利であるのか、義務であるのかに関しては一義的な答えはないため、今日においても議論の対象となっている。」と記載されている。
②『トピックから考える日本国憲法』では、第18講1の「2 選挙に行かないなら強制投票制にすればよい」に、「日本における選挙権は、憲法15条「国民固有の権利」として保障されています。この選挙権の法的性質の理解については、主に権利説(権利一元説)と二元説が有力とされています。権利説では、(中略)投票に行かないことも当然そこに含まれる自由であり、投票の強制・義務化は否定されます。二元説では、選挙権に権利と公務の両方の性質を認めるため、強制投票制導入の手がかりになるかもしれません。しかし、権利の側面も無視できないとなると、「制裁」となる罰則規定を設ける制度は違憲の可能性も出てきそうです。」と記載されている。
③『選挙法の研究』では、第一部Ⅱの「三 一元説の問題点 (2)棄権の自由について」に、「権利一元説をとればたしかに棄権は権利の不行使だけを意味することになるが、棄権の自由を無条件に認めることがその理論に本当に適合的かどうかについては疑問がある。(中略)そうでなければ選挙権の積極的意義が消えてしまうことになる。」と記載されている。
④『憲法 1』では、第11章第2節の「一 選挙権の法的性格」において、「(1)二元説」「(2)権利一元説」について解説されている(以下(1)説、(2)説はこれを指す)。また両説の相違について検討し、③として上記③『選挙法の研究』と同様の理由から、権利一元説において棄権の自由を無条件に認めることに疑問を呈している。また、「(1)説も、選挙が民主政治の第一歩であるとの観点から、選挙権を国民の最も重要な権利とみる点では、(2)説と変わりはない。ただ、(1)説の場合、選挙権が国民にとって最も重要な権利である以上、それは積極的に行使されるべきものであるが、(中略)棄権の自由が認められるべきものとする。この点で、選挙権が「権利」であることから、無条件に「棄権の自由」が認められるとする(2)説と区別される。」と記載されている。
⑤『小学校社会科の教科書で、政治の基礎知識をいっきに身につける』では、第7章の「棄権 「選挙に行かない」という自由もある」に、「近代的な自由権でいちばん重要なのは、じつは「表現の自由」ではなく、「考えていることを言わなくていい自由」、つまり「内心の自由」なんです。(中略)政治的な自由権の基本は、じつは「自分が政治的に考えていることは言わなくてもいい」「選挙に行かなくていい」ということなんです。」とあり、「内心の自由」の観点から棄権の自由について論じられている。
回答館・回答団体
岡山県立図書館
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