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カフェインが体に与える影響
質問内容
回答内容
①『コーヒーの科学と機能』には、「カフェインはプリン塩基の一種で、平滑筋弛緩作用、強心・利尿・血管拡張作用、中枢神経刺激作用、脳幹刺激作用などの薬理作用や精神作用を有するために最も早くから見いだされ、多くの研究がなされている成分である。近年ではラジカル消去作用、抗酸化作用、がん発生抑制、ストレス緩和作用があることも明らかにされてきている」とある。また「コーヒーやお茶などの嗜好飲料は、日常多く摂取されているが、それらの多くは摂取した際に何らかの心地よい(ポジティブな)感覚が得られることを期待して摂取されているものと思われる。このような中枢作用を示すと思われる主な活性成分はカフェインである」とあり、「中枢興奮作用は、ヒトでは、覚醒作用や意欲の増加などの好ましい効果をもたらすが、過度になれば、緊張や不安惹起などの好ましくない作用をもたらすと考えられる」と説明されている。
②『サイエンスカフェにようこそ!』の「カフェインと健康」において、「カフェインとは白色の粉末で、苦味のある物質です。医薬品としても使われて、覚醒、解熱、鎮痛、利尿といった作用が挙げられていますが、不眠、めまいといった副作用もあります。脳や脊髄のような中枢神経系に働いて、興奮を引き起こすので、五感を敏感にしたり、運動機能を上昇させるなどの働きを示すわけです。心臓の筋肉にも働いて心拍数の増加や拍出量を増大させたり、腎臓の血管を拡張して、そのため利尿作用をもたらします。私たちは、『眠気覚ましに』と、よくコーヒーを飲んだりしますが、コーヒーの持つ作用は、もっぱらカフェインによるものといえます。また脳の血管はカフェインによって収縮することが知られています。それで、頭痛などに効くのではないかといわれています」と説明されている。また一方で、カフェインの危険性について「カフェインも量が多いと毒性を示します。過剰摂取には命の危険もあります。半数致死量、つまりこの量を摂取すると半数が死亡するという値は200(mg/kg)で、一般的な成人の場合10~12グラム以上が危険とされます」という記述もある。
③『珈琲一杯の薬理学』の「眠りの科学とカフェイン」では、カフェインと眠気の関係について「脳の中にアデノシンが溜まってくると、脳神経細胞に付着しているアデノシン受容体というタンパク質に結合する。アデノシン受容体がアデノシンで満席になると、複雑な分子回路が働いて眠りのスイッチが『オン』に入り、最終的に眠くなる。アデノシンは『疲れ物質』なのだ。このとき一杯のコーヒーを飲むと二十~三十分かけてカフェインが脳に入ってきて、『目覚ましぐすり』の登場となる。カフェインはアデノシンの代わりにアデノシン受容体に結合する分子だ。カフェインがアデノシン受容体に近づくと、それまで結合していたアデノシンが剥がれてゆく。アデノシンの代わりにカフェインが結合する。すると、眠気を催す分子回路は働かなくなり、眠りのスイッチは『オフ』状態に切り替わる」と説明され、「カフェインは約十五分で吸収され二十分から三十分で最高血中濃度となり、お目めパッチリ、頭スッキリとなる覚醒効果と、加えてリラックス効果も期待できる」とある。また、「アデノシンの拮抗薬であるカフェインには、神経細胞死を防ぐ作用があることがわかってきた」との説明もあり、「パーキンソン病の原因である脳のドパミン神経細胞死をカフェインが防いでいる」と記載されている。
④『コーヒーの医学』には、「カフェインには脳の活動の活性化、思考力や集中力の上昇、疲労感の軽減などの作用があることが知られていますが、五〇〇㎎以上の飲用(五、六杯)では頭痛や不眠を、さらに多い摂取では動悸やめまいなどの副作用をともなうことがあります」という記述がある。
⑤『カフェイン大全』の第15章「カフェインと身体―健康への影響、生殖にまつわる問題点、ダイエット効果」、第16章「カフェインと精神―認知、学習、情緒的満足」において、カフェインが身体・精神にもたらす影響について具体的に説明されている。
農林水産省のホームーページ内の⑥「カフェインの過剰摂取について」において、「カフェインを過剰に摂取し、中枢神経系が過剰に刺激されると、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠が起こります。消化器官の刺激により下痢や吐き気、嘔吐することもあります」といった記載があり、「カフェインの過剰摂取に気をつけましょう」とある。
また厚生労働省のホームページにおいても、⑦「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~」というページがあり、カフェインの過剰摂取に対する注意喚起が掲載されている。
回答館・回答団体
岡山県立図書館
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