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トラヤヌスの記念柱

質問内容

「トラヤヌスの記念柱」の写真が載っていて、柱の彫刻について解説している本が見たい。

回答内容

①『西洋美術作品レファレンス事典 第2期版画・彫刻・工芸・建造物篇』を確認すると、「トラヤヌスの記念柱」と「トラヤヌスの円柱」の項目があり、②『世界の建築1000の偉業』、③『岩波美術館 テーマ館 第7室 ものがたり』が紹介されていた。

②『世界の建築1000の偉業』には「トラヤヌスの記念柱」全景のカラー写真の掲載のみだった。

③『岩波美術館 テーマ館 第7室 ものがたり』には「トラヤヌスの円柱」の北西面部分を拡大したカラー写真が掲載されている。解説ページには全景のモノクロ写真があり、「浮彫りの全155場面はことごとくがダキア戦争に関係し,すなわちこれは石に彫られた『ダキア戦記』ということができます.」、「角柱のように4つの側面に分けて4方向から見るのが正しいといわれています.」と書かれている。また北西面部分の写真の詳しい解説も掲載されている。

④『世界彫刻美術全集 5 ローマ』の「ローマの彫刻」には「戦勝記念浮彫り」の項があり、「トラヤヌス帝の戦勝記念碑」全景のモノクロ写真が掲載されている。また、記念碑の彫刻について「113年,帝のダキア(ほぼ今日のルーマニアに当る)遠征を記念したもの」、「基台部分を除く円柱の表面全体には,遠征中のさまざまな出来事を描いた浮彫りが,下から上に向かって螺旋に巻きつく帯となって刻まれており,進軍,渡河,城攻めあるいは敵の降服といった場面が,絵巻物をくり拡げるように次々と連続的に展開する.」と記述されている。また、浮彫りの技法についての解説もある。

⑤『ローマ帝国大図鑑』の「第Ⅱ部 ローマの世界 第15章 公共建築物」の「戦勝記念柱」の項にトラヤヌスの記念柱の特徴や価値について、彫刻は「帯状彫刻(フリーズ)」といい、円柱を巻物のように取り巻いている形状であることや、「ローマの薄浮き彫りの最高傑作」として帝国各地の彫刻に影響を与えたことなどを写真つきで解説している。このほかの章でもトラヤヌスの記念柱の全景写真や柱の彫刻の一部分の写真が複数掲載されている。

⑥『モノとヒトの新史料学』には「第2部 都市を読む 彫刻というプロパガンダートラヤヌス記念柱の意義」の中の「円柱浮彫り」の項には、「図2」でトラヤヌスの記念柱のモノクロ写真が掲載されている。また、浮彫りには第一次ダキア遠征、第二次ダキア遠征の様子が描かれているほか「文献史料にはほとんど残されていない戦時の宗教儀礼や軍事技術、異民族の子供や女性など当時の社会を知る手掛かりが数多く残されている。」との解説がある。「トラヤヌスの記念柱に見られる異民族の子供表現の特徴」には、異民族の子供が描かれている場面の拡大写真と内容説明があり、子供の表現によってローマの支配に入る前と支配下に入った後の様子が表されていることが書かれている。

⑦『世界美術全集 27 西洋3』には図版70に「トラヤヌス記念柱」、図版83に「トラヤヌス記念柱の浮き彫り(部分)」のモノクロ写真が掲載されている。また、図版83の解説には浮き彫りの表現などについての解説がある。

⑧『世界の環境の歴史』には「第4章 思想と想像力」の「ローマ―環境からみた衰亡の理由」に「4-4 ローマのトラヤヌス広場にあるトラヤヌスの石柱」としてモノクロ写真が掲載されている。本文には、記念柱に彫られたレリーフが一部の専門家にとって「ローマの軍事設備と軍事作戦を知らせる重要な情報源とみなされている。」とある。またローマの軍隊が環境に及ぼした影響についても知ることができるものとして、その根拠となるレリーフの内容が紹介されている。

⑨『写真記録<戦争と人間>の世界史 1』には「1 強者が支配する時代 不滅ローマの金字塔―トラヤヌスの円柱」の項があり、円柱浮彫りの一部分のモノクロ写真が複数掲載されている。またこの彫刻は「ダキア人との二度の戦いをえがく一種の彫刻叙事詩」と表現され、「渡河、行軍、露営、突撃、白兵戦、追撃、占領、軍法会議、野戦病院」とローマ軍の戦場生活のすべてが描かれているとの説明がある。

回答館・回答団体

岡山県立図書館

カテゴリ情報

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トラヤヌスの記念柱

(トラヤヌスノキネンチュウ)

回答した図書館または団体
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岡山県立図書館

(オカヤマケンリツトショカン)

情報源(回答)
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①日外アソシエーツ株式会社『西洋美術作品レファレンス事典 第2期版画・彫刻・工芸・建造物篇』 日外アソシエーツ,2019,838p. 参照はp.114,620.
②クリストファー・E.M.ピアソン『世界の建築1000の偉業』 二玄社,2011,543p.参照はp.156.
③柳宗玄『岩波美術館 テーマ館 第7室 ものがたり』 岩波書店,1986,1冊,参照は図版1,本文p.[1]
④座右宝刊行会『世界彫刻美術全集 5 ローマ』 小学館,1976,175p. 参照はp.162.
⑤ナイジェル・ロジャーズ『ローマ帝国大図鑑』 ガイアブックス,2013,511p. 参照はp.34,70,144,156,172,200-201,210,277,320-321.
⑥豊田浩志『モノとヒトの新史料学』 勉誠出版,2016,259p. 参照はp.108-125.
⑦『世界美術全集 27 西洋3』 角川書店,1964,244p. 参照は図版70,83,p.204.
⑧ドナルド・ヒューズ『世界の環境の歴史』 明石書店,2004,502p. 参照はp.145-148.
⑨写真記録刊行会『写真記録<戦争と人間>の世界史 1』 日本ブックエース,2011,200p. 参照はp.67-69.

NDC分類
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232:古代ローマ

710:彫刻

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