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西洋絵画でのオリーブの意味
質問内容
回答内容
①『名画の謎を解き明かすアトリビュート・シンボル図鑑』の「オリーヴ」の項に、シンボルとしては「平和」を意味し、「旧約聖書『創世記』8章11節で、ノアが洪水の水が引いたことを調べるために放った鳩が箱舟にオリーヴをくわえて帰ったことから、鳩とオリーヴは神との和解を表し、平和の象徴」とある。また、ギリシャ神話ではアテナ、ローマ神話ではミネルウァのアトリビュート、キリスト教主題としては大天使ガブリエルのアトリビュートであるとあり、それぞれに関する絵画も掲載されている。
なお、「序論 絵画を読み解く修辞学」には「アトリビュート」と「シンボル」について、「『アトリビュート』とは(中略)その人物が誰なのかを示す目印になる、まさに持物=帰属物のこと」であり、「『シンボル』とはギリシャ語の『symbolon(シンボロン)』に由来し、(中略)合言葉や符号、信条を意味するもの」で「それが記号や印となり、そのもの全体を言葉や物で喩える『象徴』を意味するように」なったとあり、「シンボルは単体で機能し、アトリビュートは常に明示する人物が必要」と説明がある。
②『アイテムで読み解く西洋名画』には「オリーブ」の項に「平和」とある。①とほぼ同様に「ミネルウァ(知恵と武芸の女神)の聖木」、「神と人間の和解」、「大天使ガブリエル」の3つを象徴するアイテムとして、その由来とともに紹介されている。またそれぞれに関する絵画も掲載されている。
③『モチーフで読む美術史 2』には「オリーブ」の項に、「平和の象徴」とあり、①と同様「キリスト教では(中略)ノアが放った鳩がオリーブの若葉をくわえて戻ってきたことから、神と人との和解を象徴」し、「天使ガブリエルがオリーブの枝を持っている」という記述があり、それぞれに関する絵画も掲載されている。このほか「古代ローマでは平和の女神パクスの持物」ともある。
④『美術シンボル事典』には「オリーブの枝」の項に「平和のシンボルであり,また勝利のしるし」とある。そして①と同様「嘴にオリーブの小枝をくわえたハトは旧約聖書に由来」とあり、また「受胎告知する天使がオリーブの小枝を手にもっている」絵についての解説がある。このほか、「死に対する魂の救済のシンボル」でもあることから「美徳の『協和』(conordia),『慈悲』(clementia)の,また『名声』(fama)の擬人像の持ち物である」とあり、オリーブの小枝を持ち物とする聖人が数名紹介されている。続く「オリーブの木」の項に「古代ではアテナ/ミネルウァの持ち物で,平和のシンボルとみなされた。オリーブの木は寿命が非常に長く,またランプの油となることから,知識のシンボルとなった」との記述もある。
⑤『西洋シンボル事典』には「オリーブの小枝」の項に、①と同様「くちばしにオリーブの木(中略)の小枝をくわえて、はとが洪水の終わりにノアのもとにもどってくる。それ以来平和のシンボル」とある。また、④と同様、受胎告知の天使がオリーブを手にしていることに関する記述があり、それぞれに関する絵画も掲載されている。このほか、女神の持物ではなく「1本のオリーブの小枝は、ベルナルド・トロメイ,ペトルス・ノラスクス,イレーネー,サレルノのオリーヴァといった聖人のアトリビュート」、「3本のオリーブの小枝とともに描かれているのは聖ブルーノである」とある。
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岡山県立図書館
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