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小口装飾の目的

質問内容

本などの小口に色や模様を付けるのは、装飾以外に何か目的があるのか知りたい。

回答内容

①『ポケット製本図鑑』には「第7章 小口加工」がある。「小口色磨き」の項には「年間を通して使用する手帳では、本文を保護し、汚れを目立たなくする目的」で小口塗装や三方金の加工が行われることがあると記述がある。「マーブリング」の項には「大理石のような複雑な模様を、紙などに写し取る技法」、「これを小口に用いるようになったのは、帳簿の改ざん防止のためだった。帳簿の小口にマーブリングすることで、1ページでも抜けがあれば模様に違和感が生じ、改ざんが発覚する」と記述がある。また、続けて「現在は装飾目的で、高級ノートの小口装飾などにも用いられている」と記述がある。「三方金・三方銀」の項には「聖書や手帳など、繰り返し開き使用する大事な本に、よく用いられている」、「本文を保護する役割を果たすため、長期保存したい本にもおすすめ」と記述がある。また、マーブリングについて「コラム 帳簿製本を知っているか。」には先述した改ざん防止目的以外に「手作業でつくるマーブル模様を完全に一致させて複数つくることはできないので、同じものが2冊はつくれない。また、かつてはマーブリングを見ると、どこの製本所系統の職人がつくったものか一目瞭然だった」とあり、「仮に裏帳簿が存在した場合、マーブリングを見れば職人の系統がわかり、その製本所に持っていけば、だれがつくったものかがわかる。セキュリティの一環でもあった」と記述がある。

②『出版・印刷・DTP用語事典』で「小口」を参照すると、「小口装飾」の項がある。装飾以外の目的としては「本の小口の汚れや変色を防ぐため」加工されると記述がある。また、「金箔を施す三方金や天金、マーブル小口や色染めなど」の種類があると紹介されているが、それぞれの項目には装飾以外の目的については記述がない。「マーブル付け」の項目には参考として「色小口」とあり、該当の項目を参照すると「装飾あるいは汚れ防止のために書籍の天や三方の小口に色を塗る」と記述がある。

③『製本大全』の「デザイン上の要素と仕様」には「仕上げ加工のテクニック」の項がある。その中の「小口装飾」に「特に天の小口はほこりと日射による傷みを防ぐため」装飾されていたと記述がある。また、「現在では、小口に金属箔や着色を施すことはデザイン目的が主となっています」と記述がある。

④『書物と製本術』の「第八章 綴じの機能と装飾」の冒頭には、さまざまな小口装飾の技法が紹介されており、装飾的な目的以外に「本の三方の小口を汚れから守るという役割」を持つと記述がある。それぞれの技法についての項では歴史や詳細な加工手順などが解説されているが、装飾以外の目的については記述がない。

回答館・回答団体

岡山県立図書館

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小口装飾の目的

(コグチソウショクノモクテキ)

回答した図書館または団体
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岡山県立図書館

(オカヤマケンリツトショカン)

情報源(回答)
情報源(回答)

①『デザインのひきだし』編集部『ポケット製本図鑑』 グラフィック社,2023,205p. 参照はp.172-176,185.
②レイアウトデザイン研究会『出版・印刷・DTP用語事典』 ピアソン・エデュケーション,2001,299p. 参照はp.43,103,242.
③フランツィスカ・モーロック,ミリアム・ヴァスツェレフスキー『製本大全』 グラフィック社,2019,419p. 参照はp.377.
④野村悠里『書物と製本術』 みすず書房,2017,230p. 参照はp.130.

NDC分類
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022:写本.刊本.造本

749:印刷

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