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ディスグラフィアの特徴と支援法

質問内容

ディスグラフィアの特徴や、書字の困難を支援する方法について書かれた本はあるか。

回答内容

①『ディスレクシア・ディスグラフィアの理解と支援』では、第1章の「1 LD・SLD・ディスレクシア・ディスグラフィア」において、ディスグラフィア(発達性書き障害)について記載されている。ディスグラフィアをそのまま訳すと「書き障害」となり、「原因は読み障害よりもさらに広く、さまざまな要因に注意を向ける必要」があるとして、書き障害の原因について記述している。「第3章 「書き困難」とディスグラフィアの基礎知識」の「1 実態理解」では、ディスグラフィアをタイプ別にまとめている。「読み困難が基盤となって書き困難を伴うタイプ」、「文字が思い出せない(捉えられない)タイプ」、「ことばの力の弱さ(語彙力など)が書きの困難さに影響を及ぼすタイプ」、「さまざまな発達障害特性が書きの困難さに影響を及ぼすタイプ(DCD・ADHD・ASD特性の影響)」の4タイプに分け、それぞれの書き誤る原因と特徴が記載されている。また、第4章の「2 読み書きの苦手さをもつ児童の特徴と発達との対応」では、年少から年中、年中から小学校入学前後、小学校入学前後から小学校2年生、小学校2、3年生以降の、それぞれの段階ごとに見られる読み書きの特徴と、その時期にやるべき支援の方向性について書かれている。特に、小学校2、3年生以降の段階から「書き困難が顕著に目立ちだすといった傾向」があることから、「皆が同じ方法で学習を成立させること」にこだわらずに、「学び方の多様性を保証することが必須」だと述べられている。

②『発達障害事典』では、「2 教育」の「特別支援教育におけるICTの活用」の項にて、ICTを利用して書くことを支援する方法が紹介されている。「ディスグラフィア(書字障害)」のある児童生徒は、「教室で手書きでノートをとったり、試験で解答すること」が難しいため、「キーボード入力で文字や数式を書いたり、デジタルカメラで板書を撮影したり、ICレコーダーで授業の音声を録音して記録する」手段が用いられると記述されている。また作文では、書く際に音声入力機能を用いる方法や、概念マッピング手法と、それを簡便に行うことができるソフトウェアを用いる方法が採られることが書かれている。さらに、「1.基礎」の「書字障害」の項では、書字障害の具体的な困難さから原因、支援についてまとめられている。書字障害は、文字を書く「書字レベル」と特殊音節を正しく表記する「表記レベル」に、「正確性」「流暢性(速度)」「読みやすさ(legibility)」の困難があるとして、それぞれの困難さの特徴と、支援方法がいくつか紹介されている。

③『イラストでわかるLD・学習困難の子の読み書きサポートガイド』では、第1部の「6 漢字の書き困難の事例と支援、教材」にて、具体的な支援事例から、タイプ別の支援方法と使用する教材について書かれている。「漢字の読み困難と書き困難を示すタイプでは、読める漢字単語の書字を支援することや、言語性ワーキングメモリの弱さに配慮した漢字の書き支援が大切」であるため、「視覚的イメージを利用した書字支援」を行い、「漢字書き困難のみを示すタイプでは、視空間認知の弱さに配慮した書き支援が大切」であるため、「言語的手がかりを利用した書字支援」を行うのがよいとして、それぞれの方法がいくつか紹介されている。

④『読み書き障害(ディスレクシア)のある人へのサポート入門』では、CHAPTER3の「書字の困難を補助・支援する方法」にて、タブレットPCやキーボードを文字入力装置として活用することで、書くことを補助する方法について記載されている。また「読みの補助・書きの補助に使えるスマートフォンの機能やアプリ」では、スマートフォンの音声入力機能や音声認識アプリ、アイデアをまとめるアプリ、PDFファイルや写真に文字を書き込むアプリを紹介している。また「CHAPTER4 相談を受けてから支援までの具体的な事例」には、読み書き困難の原因と特徴を踏まえた具体的な支援の事例がいくつか取り上げられている。

⑤『LD児のためのひらがな・漢字支援』では、Ⅰ部の「5.書字の支援はどうしたらよいか」にて、「読字をふまえた書字の指導法」について解説されている。「文字の知覚に関する指導」、「音節の分解と抽出に関する指導」、「文字と読みの間の連合を促す指導」、「書字の指導」、「意味の形成に関する指導」において、効果的な方法をいくつか紹介している。「Ⅱ部 書字プロセスの評価と支援の実際」では、具体的な支援の内容が記載されており、そのうち「6 事例でみる支援の実際」において、書字に困難を示した4つの代表事例について、書字の特徴から、行われた指導方法、指導の経過と結果がそれぞれまとめられている。

回答館・回答団体

岡山県立図書館

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ディスグラフィアの特徴と支援法

(ディスグラフィアノトクチョウトシエンホウ)

回答した図書館または団体
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(オカヤマケンリツトショカン)

情報源(回答)
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①川﨑聡大『ディスレクシア・ディスグラフィアの理解と支援』 学苑社,2024,128p. 参照はp.14-15,65-83.
②日本LD学会『発達障害事典』 丸善出版,2016,613p. 参照はp.52-53,120-121.
③小池敏英,雲井未歓,後藤隆章『イラストでわかるLD・学習困難の子の読み書きサポートガイド』 合同出版,223p. 参照はp.76-89.
④河野俊寛,平林ルミ『読み書き障害(ディスレクシア)のある人へのサポート入門』 読書工房,2022,239p. 参照はp.96-100,109-110,136-160.
⑤小池敏英,雲井未歓,窪島務『LD児のためのひらがな・漢字支援』京都 あいり出版,2003,145p. 参照はp.24-30,40-73.

NDC分類
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378:障害児教育

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