デジタル岡山大百科 | 岡山県立図書館

レファレンスデータベース > 山形県の行事「加勢鳥(カセ鳥)」

山形県の行事「加勢鳥(カセ鳥)」

質問内容

蓑をかぶり、片足で雪の中を歩く「加勢鳥(カセ鳥)」という東北の行事について知りたい

回答内容

①『奇妙な祭り』では、「第五章 冬の奇祭・珍祭」にて、「カセ鳥 二月十一日 山形県上山市)が紹介されている。
特徴については「上山城に到着すると、(中略)そこに頭からわら蓑をかぶった奇妙な動物たちが現れた。こいつらが祭りの主役「カセ鳥」である。(中略)カセ鳥たちが、片足でケンケンをしながら、炎の周りで踊り出す。(中略)踊るカセ鳥たちに、みんながバケツで水をぶっかける」「カセ鳥たちはこの後、町に出る。今度は町の中で延々と踊りまくるのだ。(中略)カセ鳥たちは、町の要所要所で立ち止まり、「カッカッカー」と叫んで踊りまくる。住民たちがカセ鳥に水をぶっかける。踊り終えると、カセ鳥は住民から祝儀をもらい、酒を振る舞われ、頭に手ぬぐいをくくりつけてもらう。」と記載されている。
 また、カセ鳥の起源ついて、「カセ鳥は、江戸時代の寛永年間に始まり、ざっと三五〇年の歴史があると言われている。カセ鳥には、「稼ぎ鳥」「火勢鳥」という字が当てられる。文字通り、商売繁盛を願ったり、火伏せを祈願したりしたものだ。現地では「カセ鳥があるのは上山だけだ」と言われているが、実はそうではない。似たような風習は、全国にあったのである。ただ、そのほとんどは消滅してしまった。上山が、それを近年に復活させ、大々的に行っているということだ。」と記載されている。

②『日本の「来訪神」図鑑』では、「北海道・東北地方の来訪神」にて、2月11日に登場する「加勢鳥 山形県上山市」が紹介されている。
特徴については「「加勢鳥」は、商売繁盛や五穀豊穣、火伏を祈願する。地元の若者たちが「ケンダイ」とよばれる藁蓑をまとい、加勢鳥に扮する。(中略)行事は、上山城前の焚き火を囲んだ演舞から始まる。焚き火の周りを「カッカッカーのカッカッカー!」と歌いながら輪になって踊る」「上山城での演舞の後、加勢鳥行列が始まる。人々は踊っている加勢鳥に目掛けて勢いよく冷水を浴びせるが、これは「祝い水」と呼ばれ火伏の意味がある。加勢鳥は蓑の下はほとんどサラシしか身に着けない」と記載されている。
 また、近年の状況については「加勢鳥には地域外の人も扮することができ、(中略)海外からの参加者や女性の加勢鳥もいる。」と記載されている。

③『日本民俗調査報告書集成 [5]』所収の「飯豊山麓中津川の民俗」では、「十一 年中行事」の「一月の行事」としてカセドリが紹介されている。
特徴については「昔はサイゾウワライのあと、十五才くらいまでの子供たちがカセドリをおこなったという。各家の戸口を少しあけ、両手で顔をかくした子供たちが「餅くれろ、コロコロ」といって、餅をもらってあるいた。」と記載があり、上記①②に記載されているものとは異なっている。また、①②に記載されている「カセ鳥(加勢鳥)」が上山市で2月に行われているのに対しこの「カセドリ」は、同じ山形県ではあるが、飯豊町中津川地区で1月に行われている。

回答館・回答団体

岡山県立図書館

カテゴリ情報

カテゴリ情報レファレンスデータベースレファレンス事例データ岡山県立図書館

メタデータ

レファレンス事例
タイトル
レファレンス事例
タイトル

山形県の行事「加勢鳥(カセ鳥)」

(ヤマガタケンノギョウジカセドリ)

回答した図書館または団体
回答した図書館
または団体

岡山県立図書館

(オカヤマケンリツトショカン)

情報源(回答)
情報源(回答)

①杉岡幸徳『奇妙な祭り』角川書店,2007,191p. 参照はp.168-173.
②フランそあ根子『日本の「来訪神」図鑑』青春出版社,2024,158p. 参照はp.40-42.
③大島暁雄ほか『日本民俗調査報告書集成 [5] 北海道・東北の民俗 山形県編』三一書房,1995,1238p. 参照はp.296-297.

NDC分類
NDC分類

386:年中行事.祭礼

387:民間信仰.迷信[俗信]

その他のメタデータを表示
このページのURL
このページのURL

http://digioka.libnet.pref.okayama.jp/detail-jp/id/ref/M2025030212335453740