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隣地から流れてくる雨水に関する法律
質問内容
回答内容
①『Q&A隣地・隣家に関する法律と実務』では、「Q23 他の土地の排水路の(所有者の責めに帰すことができない原因による)破損によりあふれた水が自己の土地に及ぶおそれがあるときは,排水路の修復を他の土地の所有者に請求することができるか。」に対する回答として、「A 自己の土地に損害が及び,あるいは及ぶおそれがある場合には,他の土地の所有者に対して,修繕,障害の除去,予防工事をさせることができる。」とし、解説の項目にてその根拠となる民法216条を挙げている。さらに、「他の土地の貯水,排水又は引水のための工作物の破壊又は閉塞が,その所有者の責めに帰すべき原因によるときは,妨害排除・予防請求,損害賠償請求の対象となる」としている。また、「Q24 雨天時に隣家の屋根から雨水が直接に自己の土地に注いでくる場合は,隣地所有者に雨樋の設置を要求することができるか。」に対する回答の解説にて、「土地の所有者は,直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない(民218条)。(中略)この規定に違反して雨水を直接隣地へ注いでいる場合には,受忍限度を超える損害を被った隣地所有者は,損害賠償及び差止めの請求をすることができる」とし、「雨樋の設置要求」に関する判例(佐賀地判昭32・7・29下民8巻7号1355頁)を紹介している。なお、これらの出典として②『注釈民法 7』を記している。
③『建築・道路・境界の法律知識』では、第6章の「5 雨水や排水・配線・配管設備の法律問題」にて、「自然に水が流れてくる場合」について「民法では、隣地から自然に流れてくる水(雨水、地下水など)を妨げてはならないと規定して」いることに触れた後、「人工的な原因で水が流れてくる場合の対応策」について説明しており、「人工的な原因で水が流れてくる場合は、水が自然に流れてくる場合とは取扱いが異なります。民法では、他の土地に貯水、排水、引水のために設けられた工作物の破壊や閉塞により、自分の土地に損害が及び、もしくは及ぶおそれがある場合には、他の土地の所有者に対し、工作物の修繕や障害の除去をさせる他、必要があるときは予防工事をさせることができると規定しています。また、土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならないことも規定しています。(中略)さらに、隣地の所有者の故意もしくは過失によって、自分の土地に水が流れてきて、これにより損害を被ったときは、民法が規定する不法行為に基づく損害賠償請求ができる場合もあります。」としている。
④『コア・テキスト民法』では、「第2編 物権法」の「第8部 所有権論」内の「[1]水をめぐる相隣関係」にて、「土地の所有者は,隣地から水が自然に流れてくるのを妨げてはならず(214条)―承水義務という―,直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない(218条)。」とし、さらに「「他の土地に貯水,排水又は引水のために設けられた工作物の破壊又は閉塞により,自己の土地に損害が及び,又は及ぶおそれがある場合」,その土地の所有者は,「当該他の土地の所有者に,工作物の修繕若しくは障害の除去をさせ,又は必要があるときは予防工事」をするよう求めることができる(216条)。」としている。
回答館・回答団体
岡山県立図書館
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