デジタルおかやまだいひゃっか | おかやまけんりつとしょかん

レファレンスデータベース > 在日ムスリム(イスラム教徒)の日本での土葬

在日ムスリム(イスラム教徒)の日本での土葬

しつもんないよう

日本在住のムスリム(イスラム教徒)の人が亡くなり日本で土葬する場合、土葬できる墓地が限られていると聞いた。この問題について触れられている資料はあるか。

かいとうないよう

①『絶滅する「墓」』の第2章「滅びる土葬、増える土葬」には「ムスリムの土葬墓地をめぐる紛争」の項目があり、その中で「国内におけるムスリム(イスラム教徒)の「お墓問題」が、深刻な状況になっている。ムスリムの埋葬法は土葬だ。しかし、国内のムスリム墓地は数が少なく、絶対的に不足している。新規に土葬墓地を造ろうとしても、住民の反対運動が起きたり、土葬が条例で禁止されていたりして、そのハードルは高い。(中略)2023(令和5)年現在、わが国におけるムスリムを埋葬できる土葬墓地は北海道、茨城県や埼玉県、山梨県など東日本に7ヶ所、西日本では京都府と和歌山県、兵庫県、広島県に4ヶ所あるだけだ。四国、九州には1つもない。」と書かれている。そしてカトリック別府教会が「地元ムスリムに対し、好意で土葬墓地を提供」した例、別府ムスリム協会がムスリム専用の土葬用地の整備を計画したが周辺住民らの反対にあい膠着状態となった例、「ムスリム墓地の整備に理解を示し、奮闘している」曹洞宗善隆寺の住職の取り組みの例が紹介されている。そして「国内最大の土葬墓地」の項目では京都府南山城村の高麗寺のムスリムも受け入れる国内最大級の土葬エリアについての紹介がされている。

②『ルポ日本の土葬』の「第1章 大分県イスラム土葬墓地問題」では、「日本在住のムスリムにとって、墓地の確保は長年頭を悩ませている共通の懸念事項だ。(中略)ほぼ100%の遺体が火葬される日本では、イスラム教の教えに沿った、土葬で死者を埋葬できる墓所が全国的に少ない。」と書いた上で、別府ムスリム協会が大分県イスラム土葬墓地を計画することとなった流れが記されている。

③『イスラーム・ジェンダー・スタディーズ 7』の「コラム11 日本のムスリムと埋葬」では、「土葬を希望するムスリムが日本で土葬できる墓地を探すのは非常に困難である。(中略)墓地を確保するには土地を探し、その所有者が売却を承諾するのに加えて、近隣住民からも了承を得る必要がある。」として、鹿児島で土葬できる墓所が見つからず、福岡にあるキリスト教徒の墓地に埋葬した事例が記されている。

④『在日ムスリムの声を聴く』の「第2章 在日ムスリムの声を聴くⅠ」に「②埋葬」の項目があり、「現在,日本で土葬のできるムスリム墓地は7~10カ所程度しかないと言われている.今後,ムスリムの増加や高齢化が予想される中,ムスリムが埋葬できる墓地が不足する可能性が指摘されているが,土葬や異文化に対する不安感から,住民の理解が得られず,各地で確保に苦労している.」と書かれている。

⑤『これからの死に方』の第二章「葬るのもたいへん」では、次のように書かれている。「日本在住のイスラム教徒は、(中略)墓地不足が問題になっているという。そのような状況のなかで、二〇一〇年ごろ、在日イスラム教徒の団体が、ある地域の山中に、七五区画の新たな土葬墓地をつくろうとしたところ、周辺住民の反対にあい、実現できなくなるという事態が起こった。行政当局も、条例の設置許可条件は満たしているが、地元住民の理解も必要で、どうすればいいか、前例がなく困っているという。」

⑥『日本のムスリム社会』の六章の「イスラーム霊園」の項目では「火葬を一般とする日本では、条例によって土葬を禁じている地域が多い。そうした状況のなかで土葬が可能な墓地を確保することは、外国人ムスリムだけでなく、日本人ムスリムにとっても悲願である。外国人ムスリムの場合、(中略)日本での埋葬を希望する人が増えている。そうした外国人ムスリムの願いをこれまで叶えてきたのが、山梨県塩山市牛奥の文殊院が管理する墓地に隣接する「イスラーム霊園」である。」と書かれており、霊園の紹介が記されている。そして「近い将来、ムスリムの墓地不足が深刻な問題となるのは明らかである。イスラミックセンター・ジャパンは、目下、墓地取得のために努力しているが、土葬に対する地域の理解を得ることが難しいという。」と述べられている。

かいとうかん・かいとうだんたい

岡山県立図書館

カテゴリじょうほう

カテゴリじょうほうレファレンスデータベースレファレンス事例データ岡山県立図書館

メタデータ

レファレンスじれい
タイトル
レファレンスじれい
タイトル

在日ムスリム(イスラム教徒)の日本での土葬

(ザイニチムスリム(イスラムキョウト)ノニホンデノドソウ)

かいとうしたとしょかんまたはだんたい
かいとうしたとしょかんまたはだんたい

岡山県立図書館

(オカヤマケンリツトショカン)

じょうほうげん(かいとう)
じょうほうげん(かいとう)

①鵜飼秀徳『絶滅する「墓」』 NHK出版,2023,279p. 参照はp.76-86.
②鈴木貫太郎『ルポ日本の土葬』 宗教問題,2023,175p. 参照はp.18-21.
③長沢栄治『イスラーム・ジェンダー・スタディーズ 7』 明石書店,2024,284p. 参照はp.248.
④大橋充人『在日ムスリムの声を聴く』 晃洋書房,2021,234p. 参照はp.78.
⑤橳島次郎『これからの死に方』 平凡社,2016,204p. 参照はp.83-84.
⑥桜井啓子『日本のムスリム社会』 筑摩書房,2003,233p. 参照はp.187-190.

NDCぶんるい
NDCぶんるい

385.6

334.41

そのほかのメタデータをひらく
このページのURL
このページのURL

http://digioka.libnet.pref.okayama.jp/detail-jp_c/id/ref/M2024031311055042972