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「拘禁刑」創設の経緯
しつもんないよう
かいとうないよう
①『刑法総論』の第3編 第1章の「2 拘禁刑」の項では拘禁刑について、「拘禁刑は、自由を剥奪する自由刑である。(中略)拘禁刑に処せられた者には、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、または、必要な指導を行うことができる(12条3項)。」と記されている。また、「以前は、自由刑を「懲役」と「禁錮」に区別し、前者は「所定の作業」を行うことが義務づけられていたのに対して、禁錮はこれを義務づけないとされていた(旧12条2項、旧13条2項)。」と記されている。創設の経緯としては、「禁錮は、政治犯や過失犯のような非破廉恥罪に対して、通常の犯罪(破廉恥罪)とは異なった処遇をするべきであるという趣旨に由来するものであった。しかし、犯罪を(中略)分ける意味はなく、処遇の個別化・多様化の要請などから、懲役と禁錮の区別を廃止し、自由刑として単一化すべきであるという考えが古くから主張されてきた。今回の刑法の一部改正は、(中略)懲役と禁錮の区別を廃止して、「拘禁刑」という名称によって、「自由刑の単一化」が実現されたのである。」としている。
②『はじめて学ぶ人のための刑法』では、第6講にある「自由刑」の項で、刑法第12条等の関係条文を示すとともに、拘禁刑について次のように触れている。「現行の刑罰制度では、自由刑は拘禁刑と拘留である。」「令和四(二〇二二)年改正まで、自由刑は、刑事施設に拘置し、かつ、作業をおこなわせる懲役と、作業をおこなわせることを内容に含まない禁錮の二つがあって、後者は刑法一三条に規定されていた」。続く「拘禁刑への一本化の理由」の項で、「懲役と禁錮を拘禁刑に一本化したことについては、禁錮刑の受刑者もほとんどが志願して刑務作業に従事しているという実態がその理由の一つにあげられるが、それよりも大きいのは、以下の理由だろう。」として、刑務作業の形骸化や政治犯の処遇に関する問題について触れている。
③『刑法1 総論』では、「第9章 刑罰」にあるコラム「令和4年改正-懲役・禁錮の廃止と拘禁刑の創設」の中で、「令和4年改正により、現行の懲役と禁錮を廃止し、これらを単一化する「拘禁刑」を創設し、刑法12条・13条の後継規定として次の新12条をおくこととなった(施行は令和7年6月1日。)」と記して、関係条文を掲載している。
④『塀の中のジレンマと挑戦』では、第1章と第2章で拘禁刑について触れている。まず「第1章 刑法改正にともなう受刑者処遇の意義と課題」では、拘禁刑の内容や受刑者の処遇に関する理念の変遷、現状に触れた後、拘禁刑における課題と対応が記されている。次に「第2章 『所定の作業』から『更生作業』への展開」において、これまでの刑務所等における作業や拘禁刑における「作業」、さらにその可能性について記されている。
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