福田英子(東京堂「妾ノ半生涯」から)
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福田 英子
以前、県外の利用者から福田英子の文献及び記念碑の場所を尋ねられたことがある。婦人社会運動の先駆者として、また”東洋のジャンヌ・ダルク”とも称される福田(景山)英子(慶応元:一八六五〜昭和二:一九二七年)の記念碑をどうしても一目見たい、とのことであった。
英子の文献としてまず最初に紹介しておかなばならないのが、英子の前半生を記した自叙伝、『妾(ショウ)の半生涯』(初出明治三十七年、福田英子著)である。これは彼女の誕生に始まり、婦人解放への目覚め、朝鮮改革運動への参加、大阪事件での逮捕・投獄・出獄、その後の結婚生活などを綴った、英子四十歳当時のものである。その内容は、多分に彼女の主観により粉飾が施されており、岡山在住の年代は意図的に操作が行われているが、近代の女性が、その内面を吐露したものとして高く評価を受けている。また同書は当館所蔵のものだけをみても、(1)東京堂版(明37)、(2)実業之日本社版(昭24)、(3)角川文庫版(昭41)、(4)岩波文庫版(昭53)など、様々な出版社から発刊されている。巻頭あるいは巻末にはそれぞれ解説があり、英子の評価を読み比べてみるのもおもしろい。
英子の後半生を語る史料として、(1) 『福田英子書簡集』 (昭33・唐沢隆三編)、(2)「山陽論叢」第1巻 (平6・山陽学園大学紀要編集委員会編)所収の「景山英子の未発表書簡八通」(太田健一・人見彰彦)がある。これは新聞紙上で取り上げられたので、ご記憶の方も多かろうが、諸氏との交流の中で「運動家」以外の素の英子の姿をうかがうことのできる史料集である。
最後に他の福田英子関係文献をまとめて紹介する。英子を一人の女性として捉えた『福田英子−婦人解放 運動の先駆者−』(昭34・村田静子著)、民権期の思想の到達点を評価した「景山英子の女性解放思想−民権期を中心に−」(光田京子、
『岡山の歴史と文化』所収)、英子を岡山の社会運動の中で捉えた 『近代岡山の女たち』 (昭62・岡山女性史研究会編)、 『岡山のあけぼの 岡山県社会運動史(1)』 (昭52・岡山県労働組合総評議会編)などがある。
なお、前述の『近代岡山の女たち』には、記念碑建立に至る経緯も触れられているので、参照されたい。 |