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(二)

【解読文】

     別紙之通是又為御心得御渡申候様ニ被
     仰付候由、用人斎田平馬被相渡候
    象従長崎当三、四月之頃迄に参候付、従
    小倉中国江船渡ニ而候事、勿論其
    御心得可有之候、道中急度ヶ間敷
    警固等無用ニ候へとも、騒敷道中無之様ニ
    御心得可有之候、尤、物静に有之様ニと
    存候、象給物、竹の葉、青草、藁、呑水ハ
    清水好ミ候、尤、従長崎其申通も可
    有之哉ニ候得共、為御心得申通候、
    中国江渡り大坂江陸路参候事候、大造に
    無之様ニ御心得可有之候、以上
      酉二月       渡部出雲守殿

    近日長崎より象参候ニ付、東海道通り
    美濃路より 本坂江懸り通り候間、宿々ニ而


【読み下し文】

     別紙の通りこれまた(是又)御心得として(為)御渡
      
申し候(そうろう)ように仰
(おお)せ付けられ候
     由(よし)、用人斎田平馬あい(相)渡され候
    象長崎より当三、四月の頃迄に参り候につき、小倉(こくら)
    より中国へ船渡しにて候事、勿論(もちろん)その御心得
    これあるべく候、道中きっと(急度)がましき(ヶ間敷)
     
警固(けいご)等無用に候(そうら)えども、騒がしき道中
    これなきように御心得これあるべく候、尤も、物静かに
    これあるようにと存じ候、象た(給)べ物、竹の葉、青草、
    藁(わら)(のみ)水は清水好み候、尤も、長崎よりその
    刻
(きざみ)申し通しもこれあるべきやに候えども(得共)
    御心得として申し通し候、中国へ渡り大坂へ陸路参り候
    事に候、たいそう(大造)にこれなきように御心得これある
    べく候、以上
                渡辺出雲守(いずものかみ)殿
      酉(とり)二月

    近日長崎より象参り候につき、東海道通り
    美濃路
(みのじ)より本坂(ほんさか)へ懸(かか)
    通り候あいだ(間)、宿宿(しゅくしゅく)にて