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岡山県庁のミュージックサイレン
質問内容
回答内容
(1)『岡山県庁舎建設誌』(資料①)には、「山青く、水清らかな岡山県を、耳にもまたなごやかな岡山県にと、音響至達範囲5kmとしてミュージックサイレンを設備した。」とある。設備の概要が記載された「ミュージックサイレン設備表」には、「日本楽器製造株式会社 昭和31年12月設置」と記載されている。
また、ミュージックサイレンが設置された経緯については、下記のとおり記載がある。
「県庁舎建設当初の計画では、庁舎内外共チャイムによる方法で、外部には屋上塔屋にトランペットスピーカー四基を置き四方に報知する計画であったが、これでは音響到達距離が約1.5~2km程度であり、岡山市内にも当時、天生堂および丸の内中学に同様の時報装置が設置されており、これらのものと混音を懸念されたため、知事の意見により日本楽器製造株式会社製のミュージックサイレンに変更された。
このミュージックサイレンは、音響到達距離が約5kmで、ほぼ岡山市内全域に亘って報知することができるものである。
ミュージックサイレンの選曲に当っては、広島大学教授糸賀英憲、岡山大学教授水野康孝両教授に依頼し、サイレンの音曲カム等の関係で編曲をする必要があったため、この編曲を水野教授に依頼し、次の6曲(内2曲は予備)を選曲決定した。
朝 7時
菩提樹 12時
家路 17時
子守唄 21時
予備
君が代 通常は1日1日 7時吹鳴
蛍の光 通常は12月31日 24時吹鳴
その後、昭和37年国民体育大会を岡山に於いて開催するに当たり、「岡山県スポーツの唄」を予備として追加した。」
さらに、「三木知事とミュージックサイレン」というコラムも掲載され、「三木知事の最も関心事は、新庁舎へ装置する時報サイレンのことであった」と記載されている。
(2)資料①を受け、三木行治元岡山県知事の関連資料を確認する。
『三木行治の世界―桃太郎知事の奮闘記―』(資料②)によると、三木氏が「“私に一つだけゼイタクを言わせてくれ”と始まったのが、県庁舎屋上に設置されたミュージックサイレンだった。」と記述があり、資料①と同様の記載がある。
また、「ミュージックサイレンは、昭和32(1957)年3月19日の新庁舎竣工式当日から鳴り始めた。」とある。
そのほか、平成に入ってからミュージックサイレンが中止されたことについて、次のような記述がある。
「三木の魂を流し続けてきたミュージックサイレンは1回、約3ヶ月間、止まった。平成9年4月、40年ぶりのことだった。…(中略)…これには反発も出た。慌ててアンケートをすると70パーセントの県民が存続を望んだ。再開されたのは、同年9月20日から。回数は、正午「菩提樹」と午後5時「家路」の2回に縮小されていた。新年の特別版は従来通り。…(中略)…県庁舎屋上に設けられている施設は、平成3年に新しい機種に代替わりし、二代目となっている。」
(3)岡山県のホームページにある「県庁舎のミュージックサイレンについて」(資料③)には、資料①および②にあるようなミュージックサイレンの経緯が簡略して記載されている。
また、サイレンの構造について、「箱の中に2枚1組のディスクが16組納められています。各ディスクには、穴が空いていて二重の輪が猛スピードで回転し、穴が重なった瞬間送り込まれた空気が通過して音が発生します。16組は、それぞれ穴の数が違うため16音階の表現ができその組み合わせで音楽となって人々の耳に届きます。」と記載がある。
さらに、サイレンの曲目(2016年7月5日更新時)について
12時「菩提樹」
17時「家路」
12月31日24時「蛍の光」
1月1日7時「君が代」
という記載があり、実際に曲も聞くことができる。
(4)糸賀英憲著「随想三題 岡山県庁のミュージックサイレン」(資料④)には、次のような記載がある。
・「県庁舎が建設される前年昭和31年6月に、上伊福の仮庁舎内に、“新庁舎サイレン選考委員会”が、当時の三木知事の主導のもとに設けられ、学識経験者として、岡山大学水野教授ら4名の方々が加わった。」
・「三木さんは、“今度のミュージックサイレンは、岡山市全域に音楽を流して、時を告げるのであるが、岡山の子どもたちが、日夜、サイレンから流れる優れた音楽を耳にしながら、美しい感性を身に付けてゆくことに、大いに期待している。これこそ、私の長年の夢であり、願望であった。どうか、この点を考慮して、編曲に工夫を凝らして欲しい”と、熱っぽく話された。」
また、岡山県庁のミュージックサイレンの機能や構造についても詳細な記述がある。
(5)2014年2月18日の山陽新聞の朝刊には、「県庁ミュージックサイレン部品製造中止 1日も長く演奏を きょうから3日間点検」の記事(資料⑤)が掲載されており、次のような記述がある。
・「既に一部部品が製造中止となっており、故障の具合によってはすぐにも廃止せざるを得ない状態」
「後継機はなく…(中略)…定期点検を受けても、2年後の夏以降は故障したら即廃止となる。」
記事内には、ミュージックサイレンの写真も掲載されている。
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