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雷が鳴るときにとなえる「桑原桑原」の由来
質問内容
回答内容
①『故事・俗信ことわざ大辞典』の「雷が鳴るとき桑原桑原と言うと落雷しない」の項目には、3つの説が載っていた。1つ目は、養蚕による収入が多かった農家では、だいじな桑畑が雷で荒らされないように、お察し下さいという意からとなえた、というもの。2つ目は、雷が桑の木を嫌うとされるところから言った、というもの。3つ目は、江戸時代の随筆「夏山雑談」「一挙博覧」などによれば、「桑原」は菅原道真の所領であった土地の名で、道真配流後、この桑原には一度も雷が落ちなかったという言い伝えから、落雷を防ぐ呪文になった、というものが書かれている。
②『ちちんぷいぷい』によると、「くわばら」の語源は定かではないが、一説には、雷神があやまって農家の井戸に落ち、農夫にすばやく蓋をされて天に帰れなくなったとき、「俺はクワの木が嫌いだから、桑原桑原と唱えれば二度とお前のところには落ちない」と答えたことによる、と書かれている。また、菅原道真は死んで雷神となり藤原時平の一族を祟った、と伝えられるが、領地の桑原には落雷の例がないことからこう唱える、とも書かれている。
③『日本俗信辞典 動・植物編』の桑(1)の項目によると、桑原は、憤怒の余り雷となったといわれる菅原道真の生まれた地で、ここには雷が落ちないのでこれにあやかるため唱えるのだという、と書かれている。また、別の説も挙げられている。昔、桑原の井に雷が落ちた。上ろうとするところを村びとが寄り集まり、井の上に蓋をかぶせて、雷を責めた。雷は大いに苦しみ、将来永久にこの地に落雷しないことを誓った。それ以来雷が落ちたことがない、とする『栗里先生雑著』が紹介されている。ほかにも、雷はクワの木で目を突いたので、クワが嫌いなのだという、とも書かれている。
④『日本随筆大成第2期20』によると、①『故事・俗信ことわざ大辞典』で挙げられている「夏山雑談」には、「桑原といふ所は、むかし菅家のしろしめしたる処なり。延長の霹靂、其後度々雷の堕たりし時、此桑原には一度もおちず。雷の災のなかりしとかや。これによつて京中の児女子、いかづちの鳴時に桑原々々といひて咒しけるとなり。今にいたりてかくいふ事なり。」と書かれている。
⑤『雷の民俗』によると、「クワバラ」の呪言について、『夏山閑話』には「桑原といふ所はむかし菅家のいたる所なり。延長の霹靂其後度々雷の堕ちたりし時此桑原には一度もおちず、雷の災いなかりしとかや。これによって京中の兒女子、いかづちの鳴る時は桑原桑原といひて呪いしけるとなり、今にいたりてかくいふ事なり」とある、と書かれている。
また、④『日本随筆大成第2期20』の解題によると、①『故事・俗信ことわざ大辞典』に挙げられている『夏山雑談』と⑤『雷の民俗』に引用されている『夏山閑話』について、「本書(夏山雑談)は一名『夏山閑話』とも称せられ」と書かれている。また、①『故事・俗信ことわざ大辞典』に挙げられた『一挙博覧』についても、⑥『日本随筆大成第2期8』によると、「夏山雑談と竹叢漫筆を拠り所として本書(一挙博覧)が成された」と書かれている。
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