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戦前・戦中の教科書での『桃太郎』
質問内容
回答内容
戦前・戦中の教科書に「桃太郎」が掲載されたものは多数あるが、「桃太郎」が最初に採用されたものおよび国定教科書で、当館で所蔵している復刻版等を紹介した。①は和装本からの翻刻(活字に起こしたもの)、②は原本4ページ分を1ページに縮刷している。③④⑤は図書全体の復刻で文字も大きい。
※旧字体の一部を新字体で表記している。元号または西暦の表記は情報源によるが適宜補記した。
①『尋常小学校読本 一』
『日本教科書大系 近代編 第5巻 国語(二)』所収。原本は明治20(1887)年発行。挿絵あり。
②『尋常小学読本 巻一』
『日本教科書大系 近代編 第7巻 国語(四)』所収。原本は明治43年(1910)年翻刻発行の第二期国定国語教科書。掲載は3ページ分で、物語冒頭と最後のみ。挿絵あり。
③『尋常小学国語読本 巻1』
1918(大正7)年日本書籍発行の第三期国定国語教科書の復刻。挿絵あり。『日本教科書大系』にも所収あり。
④『小学国語読本 巻1』
昭和7(1932)年大阪書籍発行の第四期国定国語教科書の復刻。カラー挿絵あり。『日本教科書大系』にも所収あり。
⑤『国民学校国語読本[1]ヨミカタ 1』
昭和16(1941)年日本書籍発行の第五期国定国語教科書の復刻。カラー挿絵あり。『日本教科書大系』にも所収あり。
なお、戦前・戦中の国語教科書の変遷および、『桃太郎』の掲載状況については、以下の資料を参考としたので、合わせて紹介した。
⑥『近代日本の教科書のあゆみ』
「第Ⅰ部 明治期から昭和戦前期の変遷」の「国語教科書」の項目には、「自由編纂時代」(1872~1885)、「検定制度時代」(1886~1903)、「国定教科書時代」(1904~1948)、「新検定制度時代」(1949~)の区分や、国定以前の教科書および第1期から第5期までの国定教科書に関する説明がある。
⑦『桃太郎像の変容』
「七 国語教科書の桃太郎像」の章では、「(一)明治期」「(二)大正・昭和戦前期」「(三)昭和戦中期」のそれぞれについて、桃太郎が掲載されている主要な教科書の本文引用と解説により詳細にまとめられている。p152に『尋常小学読本』(文部省編輯局著作、明20・5)において初めて教材化された旨が記載されている。p181に「第一期国定教科書『尋常小学読本』(明37)には民間本にあった桃太郎をはじめ、伝承的説話教材は除かれ」とある。第二期から第五期までの国定教科書について、それぞれ記載されている。
⑧「昔話の主人公から国家の象徴へ : 「桃太郎パラダイム」の形成 」
「3.桃太郎噺の「国民童話」化――教科書への掲載」の箇所に、「『尋常小学読本(巻一)』(1887)において、桃太郎は初めて学校教材に採用された。」「国定国語教科書は四度の改訂を重ねたが、桃太郎は、第1期を除いて、第2~5期までのすべての国語教科書で、一年生の前期に学習する「巻一」に採用されている。」との記述がある。また、「学校教科書への「桃太郎」掲載」(掲載教科書の一覧表)や「国定教科書等に見る「桃太郎」の比較」の表がある。
なお、①~⑤は、国立教育政策研究所教育図書館の「近代教科書デジタルアーカイブ」で白黒画像での本文の閲覧が可能である。③~⑤は、広島大学図書館「教科書コレクション画像データベース」でもカラー画像での閲覧が可能。
回答館・回答団体
岡山県立図書館
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