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振動を利用した発電

質問内容

振動を利用した発電の仕組みや、実際に使われている事例について知りたい。

回答内容

①『エネルギーハーベスティング』の第2章に「『振動発電』は、硬い容器の中で錘が動くような構造を作り、その錘の運動から発電する方式である」とある。「錘をバネで吊り下げると錘の重み(錘に働く重力)でバネが伸び、重力とバネの弾力性が釣り合った均衡点で錘は静止する。この状態から、上下に振動を加えると中の錘には加速度が働くことで動き始める。環境から加える振動の周波数とバネで支えられている錘の共振周波数とが一致すれば錘の振幅は増加していくことになる」との解説もあり、振動発電のイメージ図も併記されている。

②『環境発電ハンドブック』の第2編第1章「振動発電の原理」では、「人体の運動からの発電としては、腕時計用の振動発電がすでに実用化されているが、最も大きな出力が期待できるのは歩行の際の運動エネルギーである」とある。発電方法についても具体的に解説されており、「振動源に対して小さな発電器を『後付け』で設置することによって、まず環境の振動を内部振動子の運動エネルギーに変換し、そして発電素子により振動エネルギーを電気的エネルギーへと変換する」とある。また同書の第4編第8章「流れによる振動を利用した発電」では、風などの「流れ」を利用する発電方法について、「流れによる振動現象をうまく誘発し制御すれば動力として利用することや発電することも十分に可能である」とある。そして、「流れのエネルギーを動力として取り出す一般的な方法は風車・水車の利用である。灌漑や精粉のための動力源からはじまり、自然エネルギー利用の主力となっている風力・水力発電においても流れエネルギーから電力への変換器として風車・水車が用いられている」と説明があり、「環境発電に利用できる流動誘起振動現象」について解説されている。

③『トコトンやさしい環境発電の本』では、JR東日本が東京駅の改札口で実施した床振動発電試験の事例が紹介されている。「普段の人の運動エネルギーをうまく利用する方法として、歩行時の床での振動エネルギーを利用する方法があります」とあり、「圧電素子を使う方法」と「電磁誘導を使う方法」について記載がある。また同書において、心拍の振動を利用して発電するペースメーカーも紹介されており、その仕組みについては「振動発電方式としては、ペースメーカー本体からのリード(導線)部分に圧電性の柔らかな樹脂製フィルムを取り付け、フィルムの一端だけを固定して心臓の拍動に反応して動かし、電力を発生させ、2次電池に蓄電します」と記載がある。

④『「電気」という物理現象の不思議な科学』では、「人間は、歩く都度一歩毎に大地に踵を着き、指を返して大地を蹴ります。このエネルギーは相当のものです。靴のかかとがすり減るのはもちろん、神社の階段の石さえすり減ります。車道では1トン以上もある自動車が走り回ります。このエネルギーを発電に利用することはできないかと考えたのが雑踏発電です」という記述があり、「原理は、電気信号を振動に変えて音を出すスピーカーの原理を逆に利用するだけです。つまり、圧力が加わると電気が発生する『圧電素子』を利用するのです」と説明がある。

回答館・回答団体

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振動を利用した発電

(シンドウオリヨウシタハツデン)

回答した図書館または団体
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(オカヤマケンリツトショカン)

情報源(回答)
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①堀越智『エネルギーハーベスティング』 日刊工業新聞社,2014,219p. 参照はp.50-59.
②鈴木真毅[ほか]『環境発電ハンドブック』 エヌ・ティー・エス,2012,404p. 参照はp.15-26,243-249.
③山崎耕造『トコトンやさしい環境発電の本』 日刊工業新聞社,2021,159p. 参照はp.50-51,144-145.
④齊藤勝裕『「電気」という物理現象の不思議な科学』新潟 シーアンドアール研究所,2023,215p. 参照はp.142.

NDC分類
NDC分類

540:電気工学

543:発電

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