デジタル岡山大百科 | 岡山県立図書館

宇宙食の条件

質問内容

宇宙食に求められる条件を知りたい。

回答内容

①『るるぶ宇宙』の中で、宇宙食について「宇宙飛行士の栄養を確保し、気分をリフレッシュさせる宇宙食。そのまま食べられるレトルト食品や缶詰、ナッツや飴、ドライフルーツなどのほか、水やお湯で戻すフリーズドライなどがある。さらに、果物・野菜などの生鮮食品、放射線で殺菌したビーフステーキなどと多彩。宇宙日本食も開発されている」と説明されている。
 「宇宙に行ける宇宙食の条件」については「常温で1年半以上保存でき、食中毒などを予防するため衛生性が高いこと。液体や微粉などが飛び散らず、電気系や空気の清浄度への障害が発生しないこと。容器や包装が燃えにくく、有毒なガスが発生しない安全なもの、など厳しい検査が!合格すれば、ISSで食されることもある。」と記載されている。
 「ISS(国際宇宙ステーション)で食べる」と「デイリーユースの宇宙食」の項目では、実際に宇宙食として採用されている食品の一部がカラー写真で紹介されている。

②『宇宙食』の「宇宙食に求められる条件」の項目で、「宇宙空間での食事には、人体の側では全く問題はない。無重力(正確には、微小重力)でも、ヒトは問題なく食べ物を嚥下できる。問題は食品側にある。液体は、容器からこぼれると玉になり、空間を浮遊する。こぼれた飲み物が、機器に触れたら故障の原因となってしまう。したがって、宇宙食には適度な粘度が求められる。匂いがきついものもご法度である。狭小な密閉空間では、匂いがほかの人の迷惑になってしまう。くだけやすいものも困る。せんべいのくずが、浮遊しても困る。さらに、宇宙食は一口で食べられるものでないと困る。宇宙食を喫食するときに使用するテーブルセットにナイフはない。フォークとスプーンのみである。ナイフを使用して肉をカットしようとすると、無重力では、肉は、皿の上をすべってしまうのである。これらに留意して、宇宙食は作られている。」と記載されている。
 また、ISSの運用委員会の下に設置された国際ワーキンググループにて、世界各国の飛行士に提供する食事について、統一的な基準“ISS Food Plan”(2004年発効)を設け、宇宙食の栄養基準、品質基準、衛生基準、保存試験や輸送方法を定めていることが記載されている。
 さらに、宇宙日本食について、NASDA(JAXA<宇宙航空研究開発機構>の前身)が宇宙日本食の認証基準を作成し、この基準に合格したものを宇宙日本食として認証することが記載されている。認証基準の概略も記載されている。

③『宇宙飛行士に聞いてみた!』の中で、宇宙飛行士への「宇宙ではどんなものを食べますか?」という質問に対して「基本的には地上で食べるものと変わらない。だが宇宙食には特別な要件がある。まず、打ち上げの時に壊れたり破裂したりしないように密封されていること。腐敗を回避するために貯蔵期間は、パッケージしてから18~24か月だ。もちろん栄養満点かつ健康的で、ビタミンとミネラルがバランスよく含まれていることも重要だ。無重力空間では食べられないものもある。たとえばポテトチップスなど粘性のないものは、食べている時にくずが飛び散り、機器や人間の目に支障をきたす可能性があるからだ。崩れやすいものは最初から用意されていない。宇宙食の多くはレトルトパウチ、プラスチック梱包または缶入りで、メニューは100種類以上にのぼり、バラエティーに富んでいる。乾燥食品やフリーズドライ食品は、熱いお湯を混ぜ、やわらかく戻してから食べる。野菜やスープはほとんどがこのタイプだ。ほかには放射線を照射して細菌を殺し、長く貯蔵できるようにした照射食品もある。おもにレトルトパウチ入りで、電気フードウォーマーで20分ほどあたためる。中身はたいてい肉かデザートで、軍用食やキャンプ食に近い。それほどまずくはないが、塩分が控えめな宇宙食が多いので、少し味が薄いと感じるかもしれない。というのも、無重力環境下では皮膚にナトリウムが蓄積されやすく、体内の酸性が高まって骨量減少を促進することがわかってきているためだ。激しい運動をこなして、骨密度の維持に努めている宇宙飛行士にとってはいいニュースじゃない。」と回答している。

④JAXAホームページ「宇宙で食べる」には、以下のとおり、「宇宙食の条件」が記載されている。
「安全であること
   容器や包装が燃えにくいこと
   容器や包装が燃えた場合でも、人体に有害なガスが発生しないこと
 保存性が高いこと
   常温で長期保存が可能であること
 衛生性が高いこと
   宇宙飛行士の食中毒などを予防するための衛生性を確保する(食品内の細菌の種類や数などを基準以下とする)こと
 食べる時に危険要因が発生しないこと
   電気系への障害防止
   液体を含む食品は飛び散らないよう、食品を封入するパッケージに付属したスパウト(吸口)やストローを使用する
   そのまま食べる食品については飛び散らないよう粘度を高め、ゾル状食品(とろみのある食品)とする
   空気清浄度への障害防止
   微粉を出さないこと
   特異な臭気を発するものは適さない」

回答館・回答団体

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宇宙食の条件

(ウチュウショクノジョウケン)

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(オカヤマケンリツトショカン)

情報源(回答)
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①林公代『るるぶ宇宙』 JTBパブリッシング,2021,95p. 参照はp.14-15,90-91.
②田島眞『宇宙食』 共立出版,2015,115p. 参照はp.8-22,45-98.
③ティム・ピーク『宇宙飛行士に聞いてみた!』 日本文芸社,2018,319p. 参照はp.161-164.
④JAXAホームページ「宇宙で食べる」https://humans-in-space.jaxa.jp/life/food-in-space/
(2025年3月6日確認)

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JAXAホームページ「宇宙で食べる」

NDC分類
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538:航空宇宙工学

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