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緑青(ろくしょう)
質問内容
回答内容
①『錆の科学』には、「緑青とは銅の錆です。主成分は塩基性炭酸銅で、緻密な薄い膜からできています。この緑青が銅像を覆っているので、これ以上に腐食して錆が発生することを抑制しています。その結果、何年経っても銅像の姿は変わらないのです。」と記載され、「腐食を制する錆」として紹介されている。
②『よくわかる最新さびと防食の基本と仕組み』には、銅に生じる青緑色のさびの典型例として鎌倉大仏像が挙げられ、「銅製品は、使い始めた当初は黄金色に輝いていますが、大気中の水、酸素、炭酸ガスなどと反応して塩基性(化合物にOH基を含む)の銅化合物を生成します。塩基性炭酸銅、塩基性硫酸銅、塩基性塩化銅などがあり、総称して緑青(ろくしょう)と呼ばれます。我々の目に落ち着いた感じを与えます。緑青は、美しさとともに、銅を腐食から守ります。」と解説されている。
③『トコトンやさしい金属腐食の本』には、「公園や街角にある銅製モニュメントや、神社や仏閣などの銅吹屋根で見られるように、銅や銅合金が屋外で曝されて放置されると、酸素、二酸化炭素、水が作用して、その表面が大気腐食によって美しい青緑色の皮膜で覆われます。この青緑色の皮膜は緑青と呼ばれ」とあり、その成分として、「塩基性硫酸銅」、「塩基性炭酸銅」、「塩基性塩化銅」が挙げられている。さらに、「この緑青は銅のさびの1種で、その厚さは約1ミクロン(1000分の1ミリ)程度です。緑青は、短時間で生成されることはなく、おおよそ20~30年程度の時間を経て形成されます。銅の色調は赤銅色で、大気に曝されると銅の表面に酸化銅や亜酸化銅が生成して、その表面色は薄褐色になります。その後、次第に暗褐色になり、歳月を経て緑青が生成されます。この緑青は、銅の表面に付着して内部の銅が金属腐食されることを防ぐ保護的な役割を有していますので、鉄の赤さびのように、限りなくさびが進行し続けることはありません。」と記載されている。
④『錆・腐食・防食のすべてがわかる事典』には、「緑青とは古くより使われた顔料の名称で、その後、青緑色の銅の腐食生成物の名称として使われるようになった。」と記載がある。また、顔料の成分は「塩基性酢酸銅」であったといわれ、腐食生成物の緑青はさまざまな塩基性塩で、環境によって組成が異なるということが記載されている。
さらに、現在もっとも一般的に生成される緑青は「塩基性硫酸銅」であり、「酸化第一銅が、酸素、亜硫酸ガス(二酸化硫黄)、水と反応することで生成される。塩基性硫酸銅はブロカンタイトとも呼ばれ、天然にはブロシャン銅鉱として産出する。」と記載されている。
回答館・回答団体
岡山県立図書館
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