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(十五)

【解読文】

   一 今般象牽為登候、御領内罷通候節、
     急度警固等被出候ニ者不及候、珍敷
     生類故群集も致候ハヽ、障ニも成可申候間、
     其趣通り候筋心得を御申渡候様ニ
     致度候事
   一 象泊候所、馬宿様之所ニ而一夜之儀事
     済候之間、御取繕候儀ニ不及候事
   一 象道之草、笹之葉、粥飼申候、右者
     宰領之者雑費相払可申事
   一 象一日ニ十里とハ歩行難斗候ニ付、
     本ン宿ニ而無之所ニも止宿申儀も可
     有之儀ニ候、其辺ニ而支不申候様致度
     候事
   一 道中川々も馬渡り候程之川者越申候
    右之趣面々御領内其所之役人中
    心得候様可被御申渡与存候、珍布生類故、



【読み下し文】

   一 今般象牽(ひ)きのぼ(上)させ(為)(そうろう)
     御領内まか(罷)
り通り候せつ(節)、きっと(急度)
     警固(けいご)等出され候には及ばず候、珍しき
     生類(しょうるい)ゆえ(故)、群集も致し候わば
     障(さわ)りにもなり申すべく候あいだ(間)
     その趣(おもむき)通り候筋心得を御申し渡し候
     ように致したく(度)候事
   一 象泊り候所、馬宿様(よう)の所にて一夜の儀事
     済み候のあいだ、御取繕い候儀に及ばず候事
   一 象道の草、笹の葉、粥
(かゆ)飼い申し候、右は
     宰領
(さいりょう)の者雑費あい(相)払い申すべき事
   一 象一日に十里(り)とは歩行(かち)計りがた(難)
     候につき、本宿(ほんじゅく)にてこれなき所にも
     止宿(ししゅく)
申す儀もこれあるべき儀に候、
     その辺にて支(つか)え申さず候よう致したく候事
   一 道中川川(かわがわ)も、馬渡り候ほどの川は越し
     申し候
    右の趣
(おもむき)、面面(めんめん)御領内その所の
    役人中心得候よう御申し渡さるべきと存じ候、
    珍しき生類ゆえ、