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(十六)

【解読文】

    為御心得聞役衆へ申達候、已上
      二月        三宅周防守
     小笠原遠江守殿
          御家来中

      追啓、象之儀三月上旬爰許差立
      申候、以上

 一 三月廿三日長崎より之先触来写
    此度御用之象壱疋江戸江被差立候間、
    入用之品并人馬無滞可被差出候、
    大坂迄之泊付記之候得共、風雨強節、
    或者大里ニ而之船渡汐時之考茂
    在之候ニ付、自然二、三日之遅滞者
    可有之哉と存候、尤一日ニ五、六里ならてハ
    難牽候間、自然泊宿道乗延過候ハヽ、
    中途ニ而宰領之者方より追触可致候、以上


【読み下し文】

    御心得として聞役(ききやく)衆へ申し達し
    候(そうろう)、以上
                三宅周防守(すおうのかみ)
      二月

     小笠原遠江守
(とおとうみのかみ)殿
          御家来中

      追啓、象の儀三月上旬ここもと(爰許)
      差し立て申し候、以上

 一 三月二十三日長崎よりの先触(さきぶれ)来たる写し
    このたび(此度)御用の象一匹江戸へ差し立てられ候
    あいだ(間)入用の品並びに(并)人馬滞(とどこお)
    なく差し出さるべく候、大坂迄の泊付
(とまりづけ)
    これを記し候(そうら)えども(得共)、風雨強きせつ
     (節)、あるいは大里(だいり) にての船渡り潮時
     (しおどき)の考えもこれあ(在)り候につき、自然
    二、三日の遅滞(ちたい)はこれあるべきやと存じ候、
    尤も、一日に五、六里(り)ならでは牽(ひ)きがた(難)
    く候あいだ、自然泊り宿(じゅく)道程(みちのり)延び
    過ぎ候わば、中途にて宰領(さいりょう)の者方より
    追触(おいぶれ)致すべく候、以上