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(三十二)

【解読文】

     渡部出雲守殿より之状箱壱つ、御同人より
     御頼越急便ニ被差越、行逢候ハヽ相渡可
     申候、御国より東ニ而逢不申候ハヽ、右状箱
     御当地ニ差置、象通り候節相渡候様ニとの
     儀ニ付、被達御耳候処、早々被指越候様ニ
     仰ニ付、七日着ニ御飛脚被差立候由、委細ハ
     御留守居共より可申越由、逐一致承知候
      象通り候先触今日到来、書付一通
      可被入御覧哉と進之候、凡来月
      十三、四日比ニ可有之哉と申儀ニ候、
      右状箱拙者手前ニ預り置、御領分江
      参候節、御歩行之者ニ申付、右状箱
      為相渡請取手形為取、御留守居
      共迄指遣可申候
     右之趣可被達御耳候、右相達候段、
     為可申進不意之御飛脚七日着ニ申付候


【読み下し文】


     渡辺出雲守
(いずものかみ)殿よりの状箱(じょうばこ)
     一つ、御同人より御頼みこし急便に差し越され、
     行き逢い候(そうら)わばあい(相)渡し申すべく候
      (そうろう)
、御国より東にて逢い申さず候わば、
     右状箱御当地に差し置き、象通り候せつ(節)あい
     渡し候ようにとの儀につき、御耳に達され候
     ところ(処)、早早(そうそう)差し越され候ように
     仰(おお)せにつき、七日着に御飛脚差立てられ
     候由(よし)、委細は御留守居(るすい)どもより
     申し越すべき由、逐一(ちくいち)承知致し候
      象通り候先触
(さきぶれ)今日到来、書付(かきつけ)
      一通、御覧に入(い)れるべきやとこれをまいら(進)
      せ候、およ(凡)そ来月十三、四日ごろ(頃)にこれ
      あるべきやと申す儀に候、右状箱拙者(せっしゃ)手前
      に預り置き、御領分へ参り候せつ、御歩行(かち)
      のものに申し付け、右状箱あい渡させ(為)受取手形
      取らせ、御留守居ども迄差し遣わし申すべく候
     右の趣(おもむき)御耳に達せらるべく候、右あい達し
     候段、申しまいら
すべきため(為)不意(ふい)の御飛脚
     七日着に申し付け候