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(三十三)

【解読文】

     恐慌謹言
                伊木豊後
       三月廿三日
       伊庭平内

 一 象之儀ニ付、追先触并聞合書付写
   左之通
      
追触
     象長崎表昨十三日令出立候処、風雨
     強、山坂難越、中途ニ止宿故、今日
     矢上村令着候間、人馬等之支度
     其御心得可有之候、尤去ル九日ニ
     差出候先触之通ニ次々可被相達候
    一 雨天之節、山坂ニ而すへり道有之所、
      川砂ニ而も海砂ニ而も敷候様ニ頼存候、
      尤石高成ル所ハ、石御取のけ是又頼存候


【読み下し文】


     恐慌謹言(きょうこうきんげん)
                伊木豊後(いぎぶんご)
       三月二十三日
      伊庭平内(いばへいない)

 一 象の儀につき、追先触(おいさきぶれ)、並びに(并)
   聞き合せ書付(かきつけ)写し、左(さ)の通り
      追触
(おいぶれ)
     象長崎表
(おもて)昨十三日出立せしめ(令)候
      (そうろう)ところ(処)、風雨強く、山坂越え
     がた(難)く、中途に止宿(ししゅく)ゆえ(故)
     今日矢上(やがみ)村着(ちゃく)せしめ候あいだ
      (間)、人馬等の支度(したく)その御心得これ
     あるべく候、尤も、去る九日に差し出し候
     先触の通りに、つぎつぎ(次次)あい(相)達せ
     らるべく候
    一 雨天のせつ(節)、山坂にてすべり道これある
      所、川砂にても海砂にても敷き候ように頼み
      存じ候、尤も、石高(いしだか)なる所は、石
      御取りのけこれまた(是又)頼み存じ候