(三十九)
【解読文】
乗せ候節も、右之仕形角木土俵を以
道造致、船与陸と一面ニ有之度候
一 土橋、薄板橋、薄石橋等同前之事
一 泊宿ニ而象繋候場所ハ、弐疋立之厩
中仕切取退、土間ヲ平ニいたし、右土間ノ
内片脇ニよせ、長サ壱丈程之五寸角
竪半分埋、半分出置、其木ニ繋申事、
尤厩無之泊者、随分丈夫構、広サ
六畳敷程支度可有之候、象小屋
口高サ八、九尺無之候而ハ、乗入候儀不
相成候、且又付添之者別宿無之様ニ候、
勿論、象遣ハ小屋之内付置候様ニ可致候、
見物猥ニ有之候而ハ象驚申候、且又
夜分象休候節、人音致候ヘ者、寝かね候而
象痛申候間、象屋之内静有之
度候
【読み下し文】
乗せ候せつ(節)も、右のしかた(仕方)角木、
土俵を以て道造り致し、船と陸と一面に これありたく(度)候(そうろう)
一 土橋、薄き板橋、薄き石橋等同前の事
一 泊り宿(じゅく)にて象繋(つな)ぎ候場所は二匹
立(だ)て厩(うまや)の中仕切り取り除(の)け、
土間を平(たい)らにいたし、右土間の内片脇
によせ、長さ一丈(じょう)ほどの五寸(すん)角
竪(たて)に半分埋め、半分出し置き、その木に
繋(つな)ぎ申す事、尤も、厩これ無き泊りは
随分(ずいぶん)丈夫(じょうぶ)に構(かま)え、
広さ六畳敷(ろくじょうじき)ほど支度(したく)
これあるべく候、象小屋口高さ八、九尺(しゃく) これ無く候(そうらい)ては、乗り入れ候儀
あい(相)ならず候、かつまた(且又)付添いの
者別宿これ無きように候、勿論(もちろん) 象遣いは小屋の内付け置き候ように致すべく
候、見物みだ(猥)りにこれあり候ては象驚き
申し候、かつまた夜分象休み候せつ、人音致し 候(そうら)えば(者)、寝かね候て象痛み申し候 あいだ(間)、象屋の内静かにこれありたく候
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